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映画「この世界の片隅に」片渕須直監督トークショー付き上映

2019年8月15日、終戦の日に新宿ピカデリーにて、片渕須直監督トークショーつきの上映を鑑賞してきました。少し前の8月3日に、NHK総合でテレビ放送されましたが、見逃してしまいましたので、今回が初見です。

前評判は色々聞いていましたが、思っていた以上に淡々と物語が進みます。鑑賞前は、戦争の時代を描いたと言う点にスポットが当たった作品と言う印象でしたが、鑑賞を終えた後では、すずさんの半生を描いた作品で、その時代背景が戦争の時代と言う表現がしっくりきます。同じ時代を描いた「蛍の墓」とは、表現がだいぶ異なります。

戦前、生きていく中で、生活環境が変わったり、色々つらいこともあるけれど、すずさんのキャラクターもあって、なんやかんや明るい雰囲気で話が進んでいきます。その後、戦争の影響は、じわりと押し寄せていますが、生活を破壊し尽くすほどのものではありません。

しかし、終戦が迫る頃、急激に被害が激しさを増してきます。空襲で投下された砲弾の破片が、凄まじい勢いで方々の地上に突き刺さるシーンは、恐さを感じました。そして広島への原爆投下。一瞬の閃光とその後の激しい振動。稲光と雷鳴のようなイメージ。とかくここに焦点を当てがちですが、その出来事自体は一瞬だったわけで、物語でもそれ自体は一瞬のシーンとして描かれました。その後、黒く爛れた人たちが周辺の街まで歩いていったと言う話は昔聞いたことがありますが、改めて思い出しました。

命、身体、街、当たり前にあったものが無下に奪われる理不尽さ。そんな中でも、最後はこれからを生きていく人たちが逞しく自ら希望を見出していく、視聴者に救いを感じさせる脚本となっていました。

上映後は、片渕須直監督のトークショー。撮影やSNSへの投稿OKとの案内がありました。スマホのカメラしかなかったので、画質はそこそこです。

  • 今回初めて映画を見た人、と質問があったので挙手。
    • 先日のテレビ放送を踏まえて、”映画館で”と補足されていましたが、自分は完全に初見です。あの会場ではわりとレアなタイプかもしれない。
  • 今日で公開から1007日目。
  • 「あちこちのすずさん」ではギリギリまでアニメーションを作成していた。
  • テアトル新宿とだいぶお客さんが被っているけど、大事な事なので、ここでも同じことを話す。
    • 終戦1年前が昭和19年8月、今は2019年8月。これからの1年間を、すずさんの過ごした終戦までの1年間と重ねてみて欲しい。
    • 原作は雑誌連載だったので、物語の進行と現実時間とリンクさせる仕掛けが成されていたけど、映画ではそれが出来なかったので。

同じ時間を過ごす、そのための工夫が色々映画にもされており、2時間強の上映時間の中で、すずさんの半生やあの時代の空気を、少しでも体験できた気がします。戦争について語られる際に、多くの場合スポットが当たらなかった部分について描かれているので、物語と併せて、興味深く見ることができました。

評判に違わず、素晴らしい作品だったと思います。鑑賞を終えた後に、色々と残るものがあるのは、久しぶりです。何を感じるかは人それぞれですが、何かしら心を揺さぶられたり、考えさせられることがあるような気がします。自分は初見が今回の劇場での鑑賞でしたので、とても映画の世界への没入感を強く覚えることができました。トークショーでも話に出ていましたが、テレビで見るのと映画館で見るのとでは、感じ方にそれなりに差がありそうですね。2020年8月までのロングランが実現されるなら、今後もどこかしらの映画館で、鑑賞できる機会があると思いますので、映画館で未見の人には見て欲しいなあ、と言う気持ちです。