初日、朝6時30分に着くよう、東京駅へ向かいます。下北の地は遠く、片道5時間ほど掛かるので、初日を観光に使うためには、この時間に出ないと厳しいのです。
6時32分発のはやぶさ1号に乗って、いざ出発です。東北方面には久しく出かけていなかったので、沿線の風景が懐かしいですね。9時50分、八戸駅に着いたら、青い森鉄道に乗り換えます。わりと乗り換え時間がなくて、切符を買うのも少し焦ってしまいます。乗車するのは快速しもきたなので、野辺地での乗り換えなしに大湊線へ乗り入れます。気になる空模様ですが、三沢あたりまでは晴れ間も出ていたのですが、そこから怪しい雲行きになり、雨も降り始めました。まあ、予報通りなのですけど。
そんな中、車内アナウンスで、車輪空回りによって遅延するかもしれない、と流れました。おお、そんなことがあるのか。結局遅延は発生しなかったようです。沿線には、のどかな田園風景や山間の景色が続きます。木々も色づき、きれいな紅葉を楽しめました。車両は1両編成で、そこそこ混んでいたので、敢えて座らずに立ちっぱなしで景色を眺めていました。さすがに2時間近くは、少し疲れました。
下北駅に着いたら、恐山行きのバスに乗車します。混雑ではないけど、そこそこの乗客数です。この日は今シーズンの恐山開山期間の最終日です。市内を抜けると、どんどん山間へと入っていきます。坂を登ったり下ったりしつつ、周りには深い森が広がります。恐山に着く少し手前、恐山冷水があるところで、バスは一旦停車します。この水は、1回飲むと10年、2回飲むと20年、3回飲むと死ぬまで若返ると言われています。自分は、あまりお腹を冷やしたくなかったので、飲みませんでした。ちなみに帰り道では停まってくれないので、飲みたい場合はこの時に飲んでおかないと駄目です。
そしてバスに40分ほど揺られて、恐山に着きました。冷たい雨が降るあいにくのお天気。若干標高が高いこともあり、結構寒いです。もう少し厚着で来れば良かったと後悔。しかし、そんな寒さ以上に気になる恐山の景色。周りを山々に囲われ、その中には宇曽利湖と恐山社寺以外なく、隔絶された世界という雰囲気を感じます。この曇天がそうした雰囲気を一層演出しているのかもしれません。
六大地蔵などを見てから、チケットを買って境内に入場します。参道の脇には、積み上げられた石と何本もの風車が挿されて、独特な光景です。左手には本堂があります。山門を抜けると、少し硫黄の臭いがしてきました。側溝を見ると、湯気が立ち上がり、独特の色合いになっています。少し離れたところには、古滝の湯がありました。時間に余裕があったら、入ってみたかったです。そして真っ直ぐ歩いてたどり着いた先が、地蔵殿になります。
お参りを終えたら、左手に進んで、地獄めぐりをします。岩と砂の荒涼とした大地に、ところどころ蒸気が噴き出しており、異世界感が強いです。そして、風もなかなか強くて、雨が降っているのですが、傘を差すのが辛いです。何回か裏返ってしまいました。でも、だからこそあの風車が映えるわけですね。
納骨堂、無間地獄、慈覚大師堂、大師説法之地の碑などを巡っていきます。風が強いせいか、高原で見かけるような植生ですね。周りを囲う山々の紅葉は見事なのですが、曇天のためもうひとつ映えません。
しばらく歩くと、宇曽利湖を見渡せる極楽浜に出ました。近くには八角堂や水子供養御本尊などがあります。そして浜にあるいくつもの小さく盛られた石の山からは、不思議なパワーを感じられます。
湖の傍には、東日本大震災犠牲者への哀悼のためのお地蔵さまがいました。蓮の花の背面にあるたくさんの手形が、なかなか強烈なインパクトを与えてくれます。近くには希望の鐘もありました。時折鐘の音が響いてきます。
しばらく宇曽利湖のほうを眺めていたら、雲の切れ間から太陽が降り注いできて、何とも幻想的な光景になりました。極楽浜と奥の山々のシルエット、雲に覆われた空模様が、この世ではない雰囲気を作り上げています。
この後、一瞬ですが太陽が顔を出してくれました。その結果、山肌の紅葉の色づきが、鮮やかに浮かび上がりました。うわー、これはありがたい。思わず写真を何枚も撮ってしまいました。空を見る限り、一面の雲で覆われており、まさに奇跡の一瞬だったように思えます。
それから再び順路に沿って歩き、赤い頭巾を被ったお地蔵さまや、どうや地獄や延命地蔵尊、地獄谷を巡って、入口に戻ってきました。
続いて右手に向かい、大平和観音や永代無縁碑を見て、階段を登っていきます。その先には、不動明王が祀られているのですが、ちょうど修繕中のようで、木の板に覆われていました。一応隙間から拝むことはできます。
境内に戻った後は少しウロウロしつつも、これ以上見るところはないので、外へ出ました。最初気づきませんでしたが、宇曽利湖は硫黄分を含む湖なんですね。結構臭いがしますし、曇天なので分かりづらいですが、独特の色合いをしています。
しばらく湖畔沿いに歩くと、赤い太鼓橋が見えてきました。三途の川に掛かる橋です。逆方向に渡ったので、あの世から現世に帰ったことになるのでしょうか。太鼓橋なので、滑り止めは付いているものの、結構上り下りはしづらいです。
その後はしばらく周辺をウロウロして、参拝者の道標となる石柱などを見つけたりしました。そして、境内の傍にお土産屋さんが1軒あるので、恐山ストラップを購入です。しかし、あまりの寒さに耐えかねて、最後はバス停の待合室に籠っていました。バスの時間を勘違いしていて、しばらく来ないだろうと思っていたら、わりとすぐに来てラッキーでした。
車窓からは徐々に日が陰っていくものの、むつバスターミナルに着いた頃は、まだ日がありました。てくてく歩いて、今回のお宿となるホテルユニサイトへチェックインです。しばらく休憩して、夕食時になったら再びお出かけします。
田名部川を渡って向かった先は、郷土料理が食べられるお店のどんどこどん。早くに行ったので、一番客でした。まずは味噌貝焼き、冷奴、川海老唐揚げを注文し、お酒は地酒の寒立馬をいただきます。さすが純米吟醸、滑らかに入りますね。それから焼き鳥3串とかぼちゃ焼酎の北瓜をいただきます。ちょうどハロウィンなので、かぼちゃにしてみました。最後は大湊海軍コロッケと手毬寿司、お酒は祈水です。
満腹になった後は、少し遠くまで歩きます。お酒をたくさん飲んだので、尿意との戦いになってきました。北へ向かい、新田名部川を渡って向かった先は、むつグランドホテルにある斗南温泉。露天風呂やサウナ、電気風呂、ジェット風呂などがあり、色々楽しめます。お湯は薄い褐色で、ぬめりが少しあり、温泉って感じがします。露天はぬるめなので、夜風を浴びながら気持ちよく長湯できます。サウナがあるのも嬉しいですね。電気風呂は想像以上に電気がピリピリしました。湯上り後は、自販機でミルクコーヒーの缶を買ってゴクゴク。ふと別の方向を見たら、ちゃんと瓶のコーヒー牛乳が売っていて、こっちにすれば良かったと思いましたが、一歩気づくのが遅かったです。
ぽかぽか温まった身体で、夜のむつの街を帰ります。むつグランドホテルは小高い丘の上にあるので、そこから望む夜景はなかなかきれいです。丘を下りて、来た道を戻っていきます。全体的に明かりは少なく、夜の闇を強く感じます。スナックが建ち並ぶはまなす通りも、わりとシンプルな感じです。
ホテルに戻った後は、少しテレビなどを見てから、就寝しました。