3日目、5時ごろ起床。涸沢カールを赤く染めるモルゲンロートを堪能します。それから朝食をいただきます。そして壁に貼られていて気になった地図を購入。道中の景色などに関する細かい情報が載っているので。その後はまったりしつつ、7時過ぎに出発しました。
帰りはパノラマコースを使います。「熟練者、健脚者向け」という案内に腰が引けますが、残る1項目である「時間のある人」に該当するので、進むことにしました。厳しそうでしたら引き返して、往路と同じ横尾経由で帰ることにします。
しばらくは岩の道が続き、やがて痩せ尾根が幾度も登場します。ロープや鎖がない箇所もあります。それからアップダウンが何度も続くので、それなりに息も上がります。それでもパノラマコースの名前の通り、左手には気持ちの良い山の峰々が広がります。ある程度進むと、涸沢カール内の低いところからは見えなかった槍ヶ岳が見えてきて、テンションが上がります。いつか登ってみたいですね。登山道にはまだ日が当たらない時間ですが、見渡す山の方には既に日が当たっているので、色もきれいに出ています。ただ今回は天気に恵まれたので良かったですが、雨天時などは危ないので、このコースは避けた方が無難でしょうね。特に上りに使うと、集中力が減っている後半に当たるので、リスクかと思います。
屏風のコル付近に出ますと、右手に上高地も見渡せるようになります。登山道に日が上がるようになるので、一気に華やぎます。涸沢カールの紅葉にはまだ早かったですが、こちらは標高が少し高いので、紅葉がちょうど良い感じでした。
さて、時間に余裕はありそうなので、少し寄り道をして屏風の耳を目指します。細い道をてくてく登っていきます。うーん、紅葉がきれいですね。ただ所々羽虫が多くて鬱陶しいです。時折現れる岩場をよじ登りながら、およそ30分ほどで屏風の耳に着きました。
岩場の上からの眺めは、圧倒的パノラマ感!遠くに小さく穂高山荘も見えます。今朝まで泊まっていた涸沢ヒュッテも遥か下ですね。槍ヶ岳も再び見えました。ハイマツを潜って両方の岩場を往来しました。さすがに屏風の頭まで行ける気はしなかったので、ここで折り返します。
屏風のコルまで戻ってきたら、お花畑を下っていきます。満開の時期は過ぎていますが、少しだけ気長な花たちが咲いています。ノアザミ、トリカブトや、キク科の黄色い花をいくつか見られました。気持ちの良い景色ですが、砂利の下り道なのでちと下りづらいです。
お花畑を越えると、樹林帯に入ります。まだ木の高さはそれほどでもないので、空が近いです。白い岩が流れている所を何度か越えていきます。全体的に下りつつも結構アップダウンがあります。途中、大きな岩が転がる地帯があり、結構大変でした。下りなので、うっかり足を怪我しないように注意です。
そして日が上がり標高は下がったので、さすがにダウンジャケットでは暑くて脱ぎます。そしたら汗でぐっしょりでした。やはり行動中のダウンジャケットは駄目ですね。ちゃんと行動中のアウターを買いたいと思います。
気づいたら木がだいぶ高くなっていて、森の中にいました。隣を流れる川に堰の姿を見つけて、だいぶ麓に下りてきたことを実感しました。奥又白山登山口の看板を見つけたら、あとは上高地内の平坦な道を進むだけです。
新村橋に出たら、こちらを渡って対岸へ移動します。徳沢ロッヂに着いたら、ソフトクリームで一服します。屏風の耳への往復が効いてきて、意外と時間に余裕がなくなってきたので、少しペースアップして、明神館まで歩きました。ここでコーラ休憩。
明神橋を渡って向かった先は穂高神社の奥宮。参拝を済ませたら、拝観料を払って明神池を見学します。山を背景にした美しい池の眺めを楽しみます。池の水はとても澄んでおり、魚が泳いでいる様子がよく分かります。イワナもいるらしいですが、姿を見つけることは出来ませんでした。
さて、あとは一路上高地バスターミナルを目指します。往路ではこちらの岸は通っていないので初めての道。木道は敷かれている部分も多く、反対岸とはまた違った雰囲気で楽しめます。水の中から木々が立ち並ぶ湿地帯のような光景が美しいですね。そんな美しい景色を楽しみつつも時間が気になるので、若干急ぎ足で進みます。
やがて河童橋が見えてきました。本当はこの周辺でのんびりしたかったのですが、バスの時刻に余裕がないので、早々にバスターミナルへ向かいます。上高地発のバスは事前予約制になっており、ウェブで予約済みなので、あとは待つだけです。
16時、上高地を発ちます。徐々に暮れていく景色を眺めながら、バスに揺られてうつらうつら。17時15分ごろ、新島々駅に着きました。イメージキャラクターである渕東なぎささんのパネルを写真撮影しつつ、電車で松本駅まで移動しました。
帰りのあずさの切符を購入したら、駅前にある榑木野にて夕食。注文したのは、海老天ぷら蕎麦。そして軽く飲みたかったので、大信州とっくり大を常温で。蕎麦味噌焼きと野沢菜のおやきを、おつまみに頼みました。旅の締めに、良い気分に浸ります。
19時15分すぎ、あずさに乗って帰途へ。帰りは少し贅沢をして、グリーン車にしました。帰りにグリーン車利用は、最近の定番です。コロナ禍で危ぶまれましたが、今年も無事に泊りの山行が出来て良かったです。
今回の登山データは以下の通りです。
距離 | 36.27km |
山行時間 | 13:42:30 |
移動時間 | 08:24:14 |
高度上昇 | 1,307m |
高度下降 | 1,291m |
往路は横尾経由で涸沢まで移動し、復路はパノラマコース経由で帰ってきました。明神館に着いた後は対岸に渡ることで、なるべく往路と重ならないルートを選びました。上高地の平坦な区間が長いので、地図上の距離と掛かる時間は全く比例しません。
上高地の平坦な区間が如実に両端部分に現れていますね。宿泊地は涸沢ですが、涸沢は6時間くらいの位置なので、最高地点ではありません。最高地点は屏風の耳になります。二日間合わせた全行程で見ると、ちょうど最高地点にいたのが真ん中くらいなんですね。