2025年04月28日、残雪期の至仏山を登ってきました。残雪期の至仏山は4月下旬からゴールデンウィーク終わりまでの期間限定で登ることができます。沼田に宿泊して、朝一のバスで尾瀬戸倉まで移動してきました。今にして思えば、戸倉に前泊すればもっと出発を早めることが出来ましたが、すっぽりと考えから抜けていました。

というわけで、8時40分ごろ戸倉に到着し、そこから駐車場方面まで歩いて、券売機で乗車券を買って乗り合いタクシーに乗車します。15分ほどで鳩待峠に着きました。駐車場に有料トイレがあるので、ここで用を済ませていざ登山口へ向かいます。

登山口に入るとがっつり雪が積もっているので、さっそくチェンスパを履きます。最初からアイゼンだと脚が疲れそうだったので、勾配が出てくるまではチェンスパで歩きます。予報通り天気は曇天ですが、ガスは一切なく見晴らしの良い状況で良かったです。

しばらくは樹林帯の中を歩きます。とはいえ木々の密度は高くなく、開放的な感じです。緩やかに登っていきますが、トレースは明瞭でしっかりと踏み固められているので、今のところチェンスパでも特に問題ありません。

やがて右手に小至仏山と至仏山が見えてきます。徐々に木々の数も減って見晴しが良くなってきました。斜面をトラバースして進む区間が続きますが、傾斜はそれほど急ではないので、あまり怖さはありません。時折樹林帯を通りつつ進んでいくと、平たい雪原に出ました。

雪原の先には小至仏山が鎮座しています。目印となるものがないので、迷わないように誘導ポールが設置されています。ここまで来ると、踏み固めきられずにシャーベット状の部分も多くなってきましたし、勾配も急になりそうでしたので、アイゼンに履き替えます。

小至仏山を迂回するトラバースルートもありますが、これはこれで怖いらしいです。自分は小至仏山のピークを踏みたいので、登頂ルートを進みます。スキー板を履いて登っているBCの人たちは、トラバースルートを登っていますが、自分は直登ルートで進みます。

そしてついに小至仏山に登頂しました。山頂標は低木の向こう側にあります。分かりにくいですが、2箇所通り道がありますので、そこを抜けると到達できます。山頂標周辺の岩場は積雪がありません。

休憩もそこそこに、至仏山へ向かいます。一旦下りますが、アイゼンとダブルストックで何とかなります。雪は少々崩れやすいです。至仏山の山頂までは、小至仏山ほどの急坂はなく、徐々に高度を稼いでいく形になります。

そしてついに至仏山山頂に着きました。さっそく山頂標と三角点を撮影します。山頂は十分なスペースがあります。東を見れば尾瀬ヶ原、西を見れば新潟の山々が広がる絶景です。

ここで大休止をとり、フリーズドライのドライカレーをいただきました。嬉しいことに、山頂近辺ではうっすら太陽が差してくれて、良いご褒美になりました。

食事を終えたら、山の鼻方面へ下山します。BCは滑走エリアが決められていることもあり、こちら方面には来ないので、ぐっと人の数が減ります。ぱっと見下山ルートが分かりにくいですが、登ってきた人たちがいたので、そこを辿っていきました。やがて誘導ポールが見えてきますので、それに従って進みます。しばらく進むと雪が消えて夏道が見えている区間に出合いますので、一旦アイゼンを脱ぎます。

木製の階段に沿って下っていきます。この一帯だけ雪がなくて不思議な光景です。日照だけでは説明がつかないですし、地熱とか関係あるのでしょうか。

やがて再び雪道となりますので、アイゼンを装着します。ここから先は、山の鼻へ向けて急坂を下っていきます。明確なルートはなく、トレースも自由に付いています。ピッケルを使うならこの区間ですね。一応お守りとして持っていきましたが、今回は使いませんでした。アイゼンとダブルストックで何とかなります。ただ一部アイゼンの刃が効きにくい硬い雪面がありましたので、状況によっては必要になるかと思います。尻セードやったら気持ちよさそうですね。制動できないと怖そうですけど、岩などの危険物は見当たりませんでした。

途中、片方だけ残されたかたっぽちゃんアイゼンを見送りつつ、正面に見える尾瀬ヶ原を目指して下っていきます。最終的に目指す鳩待峠は向かって右手にあるので右方向に下りたくなりますが、登山道は川上川の対岸にあるので、橋がある山の鼻まで向かう必要があります。この先の道で、川の対岸で困っている様子のパーティを見ました。

尾瀬ヶ原の手前で樹林帯に入ります。この辺はトレースが広い区間にバラバラに付いていて、踏み固められておらずコブコブ状態になっており、歩きにくいです。そんな下り区間を終えると、ついに尾瀬ヶ原に着きました。

湿原のど真ん中を歩くことができる、残雪期の特権です。一部融雪した部分があり、湿原の様子を覗くことができます。水芭蕉は見つけられませんでした。正面に燧ヶ岳を望みつつ、山の鼻へ向かいます。山の鼻ではテント泊の人たちが10人ほどいました。

ここから鳩待峠まで進みます。しばらくの間、川上川に沿って平坦な道を歩いていきます。アイゼンの重さもあって、地味に足が疲れてきました。時折ある倒木を乗り越えながら進みます。道中ではアオカケスなどの野鳥の姿を楽しむことができました。途中から登り返しとなり、最後のひと踏ん張りです。
そして15時20分、鳩待峠に到着しました。いそいそとアイゼンなどの装備を片付けて、乗り合いバスの乗車券を購入し、乗り場へ向かいます。15時30分が終バスでしたので、ギリギリ間に合いました。そしてこの直後に雨が降り始めました。様々な部分で、ギリギリ滑り込みセーフだった感じです。
戸倉に着いた後は、尾瀬ぷらり館の戸倉の湯で登山の疲れを癒しました。アルカリ性の硫黄温泉で、温泉感のある温泉です。肌がつるつるになりました。
今回の山行データは以下の通りです。
日程 | 2025/04/28 |
距離 | 11.53km |
歩行時間 | 5:33:00 |
経過時間 | 6:14:44 |
高度上昇 | 889m |
平均心拍数 | 141bpm |
至仏山と山の鼻を経由する周回コースです。小至仏山と尾瀬ヶ原も楽しめるお得なコースです。ただ山の鼻を経由するとピストンに比べて水平距離も伸びますし、登り返しも出てくるので、時間は余分に掛かります。終バスに対してギリギリになってしまったのは、少し見立てが甘かったですね。もう少し昼の大休止を圧縮するべきでした。そしてそれほどペースを上げたつもりはなかったのですが、bpmが高めに出ました。
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