たまには技術的な読み物を書いてみます。最近はこうした技術寄りのネタをあまり書かなくなってしまいましたね。今回はNEDOのグリーンイノベーション基金事業にある次世代デジタルインフラの構築プロジェクトについて見ていきます。このプロジェクトも規模が大きいため、対象を次世代グリーンデータセンター技術の開発にさらに絞ります。
データセンターでは、生成AIの拡大などに伴いデータ量が急増しており、それに対応するため大量のストレージが稼働しています。その結果、消費電力の増加が環境問題として注目されています。この課題に対しては、データ量そのものを削減する方法や、データをより低い消費電力で扱う方法など、複数のアプローチが考えられます。本稿では後者に焦点を当てます。
より少ない電力でデータを扱うためには、既存ハードウェアの消費電力削減に加え、データ転送効率の向上が必要です。その手段として、伝送路を電気信号から光信号へ置き換える方法が有効です。光電変換に伴う電力消費など検討すべき点はありますが、ここでは「光通信は電気通信より低消費電力である」という大まかな理解を前提に進めます。
光通信を採用する場合、ストレージ側も光信号に対応する必要があります。そのため、ストレージには光電変換機能が求められます。ストレージ内部は従来通り電気信号で動作し、インターフェイス部分で光信号との変換を行います。変換は低レイヤーで完結し、上位レイヤーはその違いを意識する必要はありません。
しかし、データセンター側の通信帯域が広がっても、ストレージ側がそれを活かせる帯域幅を持たなければ意味がありません。現状、単体ドライブの帯域幅は通信規格が提供する帯域に対して大きく不足しています。
そこで、複数のドライブを束ねて広帯域のストレージを構成します。ただし、各ドライブはガベージコレクションなどの内部処理を個別に行うため、そのままでは性能や寿命に悪影響が生じます。この問題を解決するため、ドライブは内部処理を制御するためのインターフェイスをシステム側に提供し、システムはそれを利用してドライブ間の協調制御を行います。
広帯域ストレージを実現した後は、その領域を無駄なく利用することで稼働ドライブ数を抑え、消費電力削減につなげます。そのためには、サーバとストレージを1対1で固定するのではなく、各サーバが必要な分だけストレージを動的に確保できる仕組みが必要です。この考え方はストレージに限らず、CPUやメモリなどあらゆる計算資源にも適用できます。これらを実現する技術がディスアグリゲーションです。
広帯域化のために複数のドライブを束ねたものを、今度は別の単位で柔軟に分配するという、一見逆の操作を行っていますが、いずれも目的は電力消費の低減にあります。資源を無駄なく使うことで、全体としての消費電力を抑制しようとしています。