2024年09月15日、羅臼岳を登山してきました。羅臼岳登山口に至近の宿「地の涯」さんに前泊しての日帰り登山となります。天気予報は芳しくなく、ずっと雨予報でした。ただ登山を中止するほどの大雨ではなさそうなので、決行することにしました。
朝5時ごろに目を覚まして外の様子を窺がうと、結構雨が降っています。天気予報では徐々に雨は治まるようでしたので、もう少し様子を見ることにしました。そして7時ごろになると、雨も小康状態になった様子でしたので、出発しました。ホテルのフロントで、朝食代わりのお弁当をピックアップしていきます。お弁当の中身はおにぎり2個と魚肉ソーセージ、行動食のゼリー飲料とカロリーメイトです。
看板を頼りに進んでいくと、奥に木下小屋が見えてきます。その隣に入山記入簿があるので記入します。登山道は右手に伸びていますので、さっそく登山開始です。
少し進んだところに、登山御守護の小さな御社があります。その後はひたすら樹林帯を進んでいくことになります。雨は小雨ですが、なかなか止む気配はなく、むしろ若干強くなっている気がするので、レインウェアを装着することにしました。足元には小さなカエルも跳ねていたりで、雨の中を山行を楽しみます。
水を得た青々とした森は、生命力を感じて良いですね。雨天ですがこの時点では近場にはガスは出ていないので、視界も良好です。
ただし、樹林帯が続くこの区間は、ヒグマとの遭遇率が高い要注意区間でもあります。普段熊鈴はザックに付けているのですが、知らないうちにどこかに挟まって消音したりするので、今回はカメラのストラップに付けることにしました。これだと大きく振れるので鈴の音も大きいですし、停止中なども自分の手で任意に鳴らすことができます。
この日は雨天ということもあって、入山者は少なめです。ヒグマ対策で登山者が多そうな三連休を敢えて狙ってきたのですが、このような結果になろうとは。というわけで念入りに熊鈴に加えて、適宜拍手による破裂音も響かせながら歩きました。やりすぎくらいがちょうどいいでしょう。
40分ほどでオホーツク展望に出合います。当然ながらこの天気なので、展望はありません。なのでずんずんと先へ進みます。基本的に樹林帯の中ですが、時々木々が途切れる短い区間があります。雨天である今回はあまり関係ないですが、晴天時は青空が望めて良い気分転換になりそうです。
25分ほど歩いて650m岩峰に出合います。さらに15分ほど歩くと、弥三吉水に出合います。弥三吉水は登山道から少し左に入ったところで、管から流れています。
さらに先へ進みます。このあたりから登山道に水が流れるようになります。プチ沢状態ですね。水が溜まりやすいところは、小さな池状態になっています。こうなってくると雨天山行のストレスが増してきますね。極楽平、仙人坂を通過し、約1時間ほどで銀冷水に着きました。
銀冷水の少し先には広場があり、休憩にちょうど良いです。広場から奥に入ったところには、木造の携帯トイレブースもあります。
銀冷水から羽衣峠を通り、15分ほどで大沢入口に到着です。ここで樹林帯が終わります。ここまでは全体的に緩やかな登り道でしたが、ここから先は岩場交じりの急登が続きます。加えて、途中から風も強くなりますので、体力が削られていきます。
なかなか大変な登りですが、カニコウモリやリンドウ、イワギキョウなどの花々に癒されつつ、登っていきます。30分ほど登ると、勾配が緩くなり、周囲をハイマツが囲うようになります。強風が吹くハイマツ帯の中を歩いていき、羅臼平に到着しました。
羅臼平の案内標から少し歩いていくと、広場があります。晴れていたら気持ちの良い場所なのでしょうが、今は爆風と共に雨が顔に打ちつける状況なので、あまりゆっくりとはしていられません。さらに先へ進むと別の広場があり、こちらにはフードロッカーもあります。
この先はハイマツ帯の中を緩く登っていきます。やがて岩清水分岐に出合い、さらに進むと岩清水に出合います。
この岩清水から先が最後の頑張りどころです。岩場の急登が続きます。場所によっては岩稜帯になっている箇所もあります。道を見失いやすいので、ペンキで描かれたルート案内を見て、注意深く正しいルート取りをしていきます。
そして山頂直下の岩稜帯に着きました。強風が吹いているので、バランスを崩して転落しないように慎重に進んでいきます。そして下側から回り込んで、羅臼岳山頂に登頂しました。標高1,661メートルの頂です。周囲は真っ白でほとんど眺望はなく、近くの山のシルエットがかろうじて見える程度です。それでもせっかくなので写真を何枚か撮影しました。ひとしきり撮影を終えたら、早々に下山します。
岩稜帯の下りは、上りよりも道迷いに注意が必要です。全体的にペンキによるルート案内が上り主体で書かれている印象があり、下りの際には見えないことが多いです。上りの時の記憶を掘り起こしながら、正しいルート取りで下りていきます。
その後羅臼平まで下りてきました。ここで昼休憩したかったですが、雨風が強すぎて無理です。何とか大沢入口まで下り、樹林帯に入ります。普段なら眺望が得られない樹林帯は望んで入るものではないですが、今回は雨風を凌げるのでやっと樹林帯に帰って来れたー!といった気分でした。
銀冷水近くの広場にて、お昼休憩を取ります。おにぎりは大サイズで食べ応えばっちりでした。ただどうしてもヒグマが気になってしまうので、落ち着かないですね。
登山道の水は往路よりも激しい状態になっていました。ただ既に登山靴のなかはだいぶ濡れているので、あまり気にせずズカズカと水溜まりの中へ入っていきます。途中ガスが出る時間帯もありましたが、すぐに晴れました。また、往路では特になかったのですが、復路では風向きの都合か、硫黄臭を感じました。そして16時すぎに下山完了です。
今回の山行データは以下の通りです。
日程 | 2024/09/15 |
距離 | 15.36km |
歩行時間 | 7:59:48 |
経過時間 | 8:24:25 |
高度上昇 | 1,421m |
平均心拍数 | 114bpm |
ポピュラーであると思われる岩尾別登山口からの日帰りピストンコースです。今回の登山で気掛かりだったことは、やはりヒグマですね。ヒグマの生息密度が世界一である知床の山域は、特にヒグマとの遭遇に注意が必要です。大沢入口までの樹林帯は、コース自体は緩やかで歩きやすいのですが、ヒグマとの遭遇確率が高いです。逆に大沢入口以降は、急登となる箇所が多く、風も強くなるので、体力的にきつくなります。というわけで、終始気を抜けない山行となりました。山行時間はほぼ標準タイムでした。この天気を考えれば悪くないでしょう。
また全体を通して、登山道脇に生えている木の枝が登山道にはみ出していることが多く、何度も頭をぶつけたりザックを引っ掛けたりしました。頭をぶつけるのは、レインウェアのフードで視界が狭くなっていることも多少影響しているとは思います。
記事に載せきれなかった写真は、こちらをご覧ください。