鳳凰山登山

2023年10月06日から07日にかけて、南アルプスの鳳凰山を登山してきました。10月06日は実質公休でしたので連休前日となる平日に出かけましたが、さすが南アルプスということで平日でもそれなりに混んでいました。今回は甲府駅から9時ごろのバスに乗って広河原方面に向かいましたが、甲府から竜王までの区間でバスが1台しか走っておらず、満員電車並みのすし詰め状態でした。自分は間一髪着席できましたが、立っていた人はかなり大変だったかと思います。竜王でもう1台のバスと分散して混雑は解消しましたが、それでも全員は座れない状態でした。

10時30分ごろ、登山届を提出して、夜叉神峠登山口から登山開始です。最初は比較的明るい樹林帯の中をトラバースしながら登っていきます。道幅はわりと広くて歩きやすいですが、事前に歩きやすいと聞いていた分、逆にそこまで歩きやすいわけではない、という感想が出てきました。

1時間弱ほど歩いて、夜叉神峠に着きました。夜叉神峠小屋の前が開けており、南アルプスの峰々を望むことができます。花期はほぼ終わりですが、足元にリンドウが花開いている様子を見られました。絶景を見てひと休みしたいところですが、先は長いので進みます。

樹林帯の中を1時間ほど登っていくと、杖立峠に着きました。ここを右に曲がってさらに登っていきます。この先は木々がなくなって展望が開ける場所が時折出てきて、山行中の清涼剤となります。途中から岩の数が少し増えてきますが、勾配はさほどきつくありません。ただしその分距離が長いので、段々疲れてきます。ちょうどお昼時なので、登山道の脇で休憩して総菜パンを食べました。

14時ごろ、苺平に到着です。杖立峠から2時間30分という案内でしたが、食事休憩込みで1時間15分で着きました。さすがに時間を多く見積もりすぎかと思います。この案内を見て、小屋に時間通り間に合うか不安になり、ややペースアップしてしまいました。苺平から辻山を経由するか迷いましたが、巻き道で進むことにしました。

ここから南御室小屋までは山を下ることになります。眺望はほとんどありませんが、小屋の手前に1箇所だけ景色が開ける場所があります。遠くに甲府の街並みを望めます。ここならAUの電波が入るとの案内がありました。

南御室小屋に着いたら、チェックイン手続きを済ませます。夕方まで寝床でダラダラ過ごしました。夕方になったら一旦外へ出て、水場へ向かいます。空になった南アルプスの天然水のペットボトルに、湧き出しほやほやの南アルプスの天然水を補給します。これがやりたくて事前にペットボトルを用意してきました。さすがに10月ともなると、非山行中はダウンジャケットがないと寒いです。ここのところ暖かい日々が続いており、さすがに山の上だから寒いか、と思っていたのですが、この日は今季一番の冷え込みだったそうです。

夕食はビーフシチューをいただきます。しかしながら、うっ……となってしまい、胃が受け付けません。うわー、何となく頭が痛いと思っていたけど、高山病ですねえ。小屋泊で頭痛を感じることはありますが、ここまで明確に胃が反応するのは久しぶりです。とはいえビーフシチューは大好きなので、戻さないように気を付けながら完食しました。ん~、本来ならご飯お代わりしたいところでした。

2日前、5時すぎに起きて出発準備を行ないます。南御室小屋は山行ルート上の比較的手前にあるので、早い時間帯に出発する人が多いです。今回も4時すぎに出ていく人がいました。そのため小屋内での朝食提供はなく、前日に朝食を弁当として受け取る方式になっています。

5時45分、ダウンジャケットを着込んで山行開始です。空がうっすら赤く染まっている様子は見えますが、山陰や木々に阻まれて朝日は見られませんでした。道は夜叉神峠からの道と比べて、山道らしさを増しています。岩の露出が多くて、時折手も使いながら登っていきます。ある程度登っていくと、霜柱が現れました。シャキシャキ踏みしめると気持ちいいです。

1時間弱で稜線に出ました。西を望むと北岳を始めとする白峰三山、東を望むと右端に富士山のシルエットが見えます。少し雲が多くて朝焼けは微妙ですが、気持ちの良い景色です。ここから薬師岳方面に向かって歩きます。最初左へ切れ落ちている斜面を進むのですが、ここが少し怖かったです。一応踏み跡に沿って進んでいたつもりですが、もしかしたら一部誤っていたのかもしれません。

やがて下り道となり、正面に薬師岳、その麓に薬師岳小屋が見えてきます。良い感じに紅葉していますが、太陽が雲に隠されてしまい、残念。多少粘りましたが、まだ晴れそうにないので先へ進みます。薬師岳小屋に着いたら、薬師岳に登っていきます。

ちょうどこのタイミングで太陽が顔を見せてくれて、白砂と青空、そして紅葉の鮮やかなコントラストを楽しむことができました。晴れると見事に白く映えるのですが、日が陰っていると薄茶色になるので、天気でだいぶ景色の印象が変わってきます。

10分ほどで薬師岳山頂に着きました。最高点は山頂看板から少し離れた場所にあったようですが、先は長いので早々に出発してしまいました。

ここから観音岳を目指します。稜線上は見事に紅葉が進んでおり、絶景を眺めながら天空散歩を楽しみます。多少アップダウンはありますが、気持ちよく歩ける程度です。左手には北岳が悠然と構えており、常に見られている気がします。

観音岳山頂に着きました。標高2,841メートル、こちらが鳳凰三山の最高峰となります。山頂は岩場となっており、あまりスペースはありません。地蔵岳方面へ少し下った場所に広場がありますので、そちらで休止を取るのも良いかもしれません。ただこの時はドローンを飛ばしている人がいて、特に羽音が煩かったので、早々に先へ進みました。一応南アルプスは許可を得たなら個人によるドローン飛行は可能ですが、正直鬱陶しく感じます。

観音岳からしばらく下っていきます。20分ほど進むと、鳳凰小屋分岐点に着きました。終盤部分はザレ場のトラバースなので、滑らないように少し注意が必要です。朝から歩いてきて、さすがにお腹が空いてきたので、ここで小休止して朝食をいただきます。山小屋で用意いただいたおにぎり2個になります。休止中はちょうど日が陰っており、寒かったです。ダウンジャケットは行動中に暑くなったら脱ぐつもりでしたが、結局ほとんど着ていました。早朝は冷えますし、日が昇った頃には稜線に出ますので、風が吹くと結構寒いです。

さて、お腹を満たしたら地蔵岳に向かいます。岩場交じりの樹林帯を抜けるとすぐに展望が開けます。景色は良いのですが、わりと勾配が急なので息が上がります。ペースを調整しながら登ります。登り終えるあたりで紅葉を楽しめます。

赤抜沢ノ頭を過ぎると、正面に地蔵岳のオベリスクが見えます。そちらを目指して下っていき、最後少し登ると地蔵岳に到着です。その名の通り、たくさんのお地蔵様が鎮座しています。山頂エリアは、薬師岳と同様にかなり広いスペースがあります。近くの林で紅葉を楽しみ、遠くに目を遣ると山麓の街の様子を俯瞰できます。

そしてせっかくなのでオベリスクにも登ります。途中までは普通の山道ですが、途中からほぼ垂直の岩場を登る必要が出てきます。さすがにザックを背負いながらだとバランスを崩した時に危ないかと思い、デポしていきました。岩場自体はガバでスタンスもしっかりしているので、変に恐怖心を抱かなければ特に難しくありません。2、3箇所垂壁を登ったら、オベリスクの頂上エリアに到着です。地蔵岳の山頂広場がだいぶ下に見えます。さらにこの上にある大岩の先端は、普通に登ることは難しいかと思われます。

ひとしきり満足したら、同じルートで下ります。登ってくる人全然いないな、と思ったら、自分が登ったルートとは別のもう少し簡単なルートが隣にあったようです。まあ、でも壁を登る楽しさは、自分が登った奥側のルートの方が上かと思います。

だいぶ日が昇ってきて気温も上がってきたので、ダウンジャケットは脱ぎます。この後は赤抜沢ノ頭まで戻り、高嶺方面に向かいます。赤抜沢ノ頭には観音岳のドローンがいました。

高嶺までは稜線歩きとなります。一旦下っていき、中盤あたりで再び上りに転じます。途中青いきれいな鳥を見ましたが、カメラは全然間に合わずに残念。登山中に出合う鳥は、どうしてもこちらが気づくのが遅れてしまい、警戒網に入った後に気づくので、上手く撮影できませんね。最後は少し平坦な道を歩いていくと、高嶺に到着です。

高嶺山頂、あまり広くはありませんが、ちょっとしたスペースがあります。今回の山行で通る山としては最後の山になりますので、景色を堪能しておきます。

この先はひたすら下りです。目の前には南アルプスの峰々が広がり、その中へ飛び込んでいくようで壮観です。途中ハイマツ帯を下っていくのですが、ハイマツが元気よく育ちすぎて登山道にまではみ出しています。笹なら漕いでいけますが、さすがにハイマツは硬くて痛いです。

1時間弱ほど歩くと、広大な涸れ沢に出ました。ここで得意の涸れ沢迷い込みをやってしまいます。少し下ったところで一向に道が見えないので引き返して、正しい道に戻りました。その後も分岐など少し分かりにくい場所がありますが、ピンクテープを頼りに進んでいきます。30分ほど歩くと、樹林帯の中にある白鳳峠に着きました。

ここからさらに下っていきます。少し歩くと樹林帯を抜けて、展望が開けます。大きな涸れ沢があるので、それに沿って下り続けます。下り続けて徐々に膝にダメージが溜まってきますが、この眺望がご褒美となって頑張れます。

やがて周りに木々が増えてきて、樹林帯に突入します。しばらく下ると鉄梯子が連続して登場します。しっかりした造りなので不安はないです。その後は鎖場や崩落した登山道に架けられた橋などを渡っていきます。

最後は樹林帯の急坂をひたすら下っていきます。膝はぐにゃぐにゃだし景色も変わり映えしないので、この区間は修行でしたね。カメラデータを見返してもこの区間はほとんど写真を撮っていません。野呂川が流れる音を聴いて、あと少しだ、と思いながら頑張りました。そして白鳳峠から約2時間30分掛けて、広河原の白鳳峠登山口に下山しました。標準タイムオーバーですし、予想通り下りは強烈でした。1本早いバスに乗れたらと思っていましたが、とても無理でした。

バスは1時間半ほど来ないので、バス停にザックを並べておいて、まったり過ごします。以前は広河原インフォメーションセンター内に自販機がありましたが、環境保護の理由で廃止されたようです。自販機は広河原山荘の方にありますので、そちらでコーラを購入して下山後の1杯を楽しみました。

今回の山行データは以下の通りです。

距離20.72km
歩行時間11:52:04
経過時間28:12:58
高度上昇2,039m
高度下降1,916m
平均心拍数116bpm

鳳凰山は色々なルート取りが可能ですが、今回は夜叉神峠登山口から入って南御室小屋で一泊し、翌日に鳳凰三山と高嶺を縦走して、白鳳峠登山口へ下山するルートを選びました。韮崎に前泊する案も考えていましたが、夜叉神峠ルートなら自宅早朝出発でもバスが間に合うと分かったので、このルートを採用しました。前泊がなくなることで、山行に要する総日数を圧縮できます。そして南御室小屋発だと2日目の行程が長くなるので、山行時間を少しでも短くしたいと考え、白鳳峠登山口を選びました。ドンドコ沢コースは滝や下山後の温泉など魅力的でしたが、コース時間的に厳しいので外しました。燕頭山コースは迷いましたが、御石座温泉が閉業していることとバスが始発ではないことから止めました。秋の三連休なので混雑リスクはなるべく避けたいです。

高度グラフは、初日の夜叉神峠ルートに対して、2日目の白鳳峠ルートの急坂ぶりが分かりやすい結果となりました。

今回の山行は2週間前に決めた割合突発的な山行でしたが、ほぼ快晴に恵まれ紅葉も見事に染まっており、絵に描いたような秋登山を楽しむことができました。連休前日とはいえ平日ということもあってか、直前でも小屋の予約が取れて良かったです。

記事に載せきれなかった写真は、こちらをご覧ください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする