2023年05月02日、大峰山の八経ヶ岳を登山してきました。日本百名山で近畿最高峰となります。本来大峰山の中心は山上ヶ岳ですが、山上ヶ岳は女人禁制といった背景もあり、日本百名山としてカウントされるのは標高が最高となる八経ヶ岳のようです。
最短ルートは行者還ルートであり、そちらを使う登山者が多いですが、公共交通機関によるアクセス手段がない点がネックになります。そこで天川川合に前泊して、早朝出発からの日帰り山行を計画しました。これまで日帰りの最高は8時間程度であり、今回の11~12時間は挑戦となりますが、この結果が今度の山行計画を立てる上で試金石にもなるかと思います。
弥山小屋に宿泊して、一泊二日の山行にするという方法もありましたが、どちらにせよ登山口での前泊は必須でしたので、全体の旅程を圧縮するために日帰り山行を選びました。
5時ごろ、宿を出て、10分ほど歩いて登山口に到着します。日の出の時刻は過ぎていますが、山間であることと、雲が広がっていたこともあり、まだ薄暗いです。登山届を提出するポストがありますので、記入を済ませて投函します。
さっそく薄暗い樹林帯の中を登っていきます。程なくして、金網で補強された階段状の登山道が現れますので、登ります。歩きやすいですが、それなりに急登なので息が上がります。しかし、朝の空気が冷える中では、身体が適度に温まって良いです。
急登を終えると、鉄塔が現れて左手に少し展望が開けます。そこから麓を見下ろすと、山の間を雲が流れており、さながら天の川のようでした。
そこから進むと再び樹林帯に戻ります。薄暗い中を歩き進めますが、6時ごろようやく太陽が顔を出しました。途端に登山道が明るくなります。早朝の凛とした空気も良いですが、やはり明るい方がテンションが上がります。しばらく進むと、林道出合に着きました。
林道を1分くらい歩くと、再び登山道に戻ります。この登山道入口、ちゃんと看板はあるものの見落としやすいです。一度通り過ぎてしまいました。右手の展望が開けており、ぷかぷか浮かぶ積雲が山に落とす影を楽しめます。概ね平坦な道を歩いていくと、栃尾辻に着きました。概ねコースタイム通りです。
栃尾辻付近は風の通り道みたいで、結構風が強く吹きつけます。まだ気温の低い時間帯なので、アウターを着ていても地味に体力を削られます。早く風のないところへいきたいと思いながら、歩みを進めます。
いつしか風は穏やかになり、比較的緩やかな道を歩きます。樹林帯ですが鬱蒼としておらず明るいです。ツツジや苔、低木などを楽しみながら進みます。途中1箇所ロープ場がありましたが、特にきつい内容ではありません。1時間半ちょいで高崎横手に着きました。
弥山を目指すので左手に進みます。右手は帰りに合流します。少し歩いて小さな沢を越えると、さらにその先に水の流れる音が聞こえてきます。徐々に下る登山道を歩きながら、川まで下りて渡渉するのかな、と思っていたら、橋が架かっていて、そこを渡って対岸に行けました。なお、この川は弥山川です。橋の上から眺めを楽しみます。
橋を渡ると狼平に到着です。立派な避難小屋が建っています。眺めが良くベンチもあったので休憩したい気持ちに駆られましたが、山行時間のバッファを確保しておきたいので、先へ進みます。
この先にはネットによるゲートがあります。最初開け方が分からなくて右往左往しましたが、ゴム紐で引っ掛けているフックを外せば、人が通れる程度に開けられます。しばらく階段を登っていきます。やがて再びゲートが現れるので、外へ出ます。
苔などを楽しみつつ進んでいくと、何やら足元にガラスの破片のようなものが散らばっています。何だろうと思ってよく見てみると、凍った水溜まりが割れたものでした。この時間はだいぶ暖まってきましたが、夜間は相当冷えるのでしょうね。
徐々に木々の高さは低くなり、空が広くなってきます。高山といった雰囲気の景色が広がります。やがて右手が開けてきて、眺望が得られます。ある程度登り終えたら、あとは景色を楽しみながら、平坦な道を歩きます。しばらく進むと、正面に弥山小屋が見えてきました。
弥山山頂は、ここから折り返す形で進みます。鳥居をくぐって1分程度で山頂に到着です。標高は1,895メートル。山頂には、弥山神社と役行者堂があります。参拝を済ませたら、こちらのベンチで軽く昼食をとります。朝から少し雲が多めでしたが、すっかり晴れて青空が広がっており、気持ちの良い景色です。
それから弥山小屋でトイレを借りて、八経ヶ岳に向かいます。ここからは世界遺産である大峯奥駈道となります。しばらくは下っていき、再び上りに転じます。左右のどちらも見ても抜群の眺望が得られます。20分ほどで、八経ヶ岳に着きました。
標高1,914メートルで、日本百名山であり近畿最高峰であります。周辺の山々は全て見下ろす形になります。こちらで立ち枯れの木々を眺めつつ、昼食をいただきました。下山に備えてプロテインも飲んでおきます。足元にはごく僅かですが、残雪も見られました。
八経ヶ岳を下りて先に進みます。立ち枯れの木々の間を進んでいくと、弥山辻に出ました。ここから明星ヶ岳には向かわず、右手に曲がって日裏山方面に行きます。高低差も少なくて歩きやすい道が続きます。空も引き続き雲ひとつない快晴で良い天気です。なお登山道は日裏山山頂には通じておらず、そのまま通り過ぎる形です。一応踏み跡やテープがあったので脇道に入ってみましたが、どこが日裏山山頂かははっきりとしませんでした。
1時間ほど歩いて高崎横手に戻ってきました。もともと最終バスである18時12分発の便を予定していましたが、1つ前の16時12分発の便を目指せるかも……と少しペースを上げます。しかし、行けども行けども栃尾辻までたどり着きません。さすがに1つ前の便は無理だと判断して、のんびり下山することにしました。
さすがに長時間山行で疲労気味なので、ところどころ小休止を挟みます。自分は基本的に小休止は取らず、休止しなくても大丈夫な程度の速度で歩くスタイルですが、さすがにこうも長時間となるときついです。ただ転倒したのは1回だけで、それも上手く転べたのでほぼダメージはありませんでした。そういう意味では、距離はあるルートですが、難易度は高くないルートです。
林道に出た辺りで、少し長めの休憩をとります。概ね下山時刻の目途がついたことと、あまり早く下山してもやることがなくて暇だからです。日中は気温が上がり、下山時は途中からアウターを脱いだのですが、この時刻になって日が落ちてくると再び寒さを感じやすくなりました。
長かった下山道もいよいよあと少しです。鉄塔を越えて樹林帯に入り、最後に立ちはだかる急階段が堪えました。往路で登ったときよりもずいぶんと長く感じます。膝がぐにゃぐにゃになりつつ、無事下山完了しました。
今回の山行データは以下の通りです。
距離 | 24.41km |
山行時間 | 10:55:51 |
経過時間 | 12:00:17 |
高度上昇 | 1,762m |
天川川合の登山口から入り、弥山、八経ヶ岳、日裏山と回るルートです。とにかく水平移動が長いルートになります。その分勾配は緩やかなので、余裕をもって歩けます。高崎横手を分岐点として、弥山や八経ヶ岳を一筆書きで歩けるのも良かったです。登山道はよく整備されており、だいぶ歩きやすいです。そのおかげもあってか、山行時間のわりに筋肉痛はあまり来ませんでした。ただ、さすがに疲労感はありました。高度グラフを見ると、最初の2時間半くらいが上り一本調子ですね。
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