2025年02月22日から23日にかけて、西穂丸山を登ってきました。厳冬期の北アルプスは初めてです。当初は同日程は小屋が満室で23日から24日の日程を予定していたのですが、こちらはバスが催行中止となってしまいました。しかしその際に22日から23日に空きが1名分出たという情報を得たので、その枠に滑り込みました。

21日の夜、竹橋まで移動してそこから夜行バスで出発です。雪山は夏山に比べて人数が少なく、1人で2席占有できる配置でした。談合坂SA、信州蔦木宿PAで休憩を挟みます。時間帯もありますが、信州蔦木宿PAは思った以上の寒さで身が締まりました。その後諏訪湖SAで休憩し、新穂高センターでトイレ休憩して、新穂高ロープウェイの穂高温泉口駅に着きました。

開場前ですが既に行列が出来ています。登山者もそこそこいますが、大半はインバウンド観光です。チケットは割引券があるので券売機ではなく窓口で購入します。なおザックなどの大型荷物は6kgを超える場合、荷物券が別途必要です。アイゼンやピッケルがある雪山装備はさすがにそこそこの重量があり、8kg超でした。

ロープウェイは2基を乗り継いでいきます。最初のロープウェイは距離が短く、わりとすぐに鍋平高原駅に着きます。そこから屋外を歩いてしらかば平駅に向かいます。2階建てロープウェイになっており、どちらの階へ行くかは乗り場の段階で決める必要があります。ロープウェイ内部では移動できません。ここから一気に山肌を駆け上がり、西穂高口駅に到着しました。

とりあえずゲイターだけ屋内で装着して、外へ出ます。頂の森と呼ばれる駅周辺のエリアは、一般観光客も散策できるコースになっています。登山口は特に明確な案内がないので、正しい方向か若干不安を覚えますが、奥の方へ進んでいけば大丈夫です。特に登山口の看板はないので、適当なタイミングでアイゼンを装着しました。

天気は曇天でガスっており、雪が軽く舞っている状態です。寒さもわりと感じます。しかし少し歩いていると雪が止んで薄日が差してきました。晴れたり曇ったりですが、僅かな間でも日が差すと景色がだいぶ変わります。

アップダウンはありますが、全体的に平坦な道がしばらくの間続きます。雪はふかふかで柔らかく、スノーバスケットを付けたダブルストックが歩きやすいです。正面に見える日に照らされた山肌がとても美しかったのですが、カメラが間に合わず撮影できませんでした。とてもきれいだったと記憶していますが、逃した景色は美しい、かもしれません。

やがて急登が始まります。トレースもしっかり付いており、アイゼンをきちんと効かせれば、特に登りにくい部分はありませんでした。技術というよりは体力な区間です。この急登を終えると、あとは平坦な道を進んでいき、やがて右手に西穂山荘の建物が現れます。

ここから西穂丸山へ向かいます。ここまでダブルストックで進んできましたが、ここから先はピッケルに切り替えます。そして顔にはバラクラバを装着します。天気の方はすっかり曇天になってしまい、雪の量も増えてきました。晴れ間は難しそうですね。丸山は翌日にしようかとも思いましたが、まだ早い時間ですし片道20分程度なので、とりあえず登ることにしました。

最初はモフモフ雪の急登を登ります。雪面は硬くないですが急勾配なので、キックステップで前爪を効かせた方が良いです。その後少し登ると、岩場地帯に入ります。同時に風もかなり強くなります。風で冷やされるためか、雪面はわりと硬くなっており、ピッケルの方が安心できます。途中雪がほぼ吹き飛んで、氷になっている箇所もありました。

急登を終えると後は山頂まで平坦な道が続きます。ただし風は強烈なので、ひと息つけるといった感じはありません。ガスで周りの景色が見えないのも残念です。風雪に耐えながら進んでいくと、西穂丸山山頂に到着です。

一瞬でもいいから晴れないかなあ、と粘りますが、日が差す気配は微塵もありません。独標方面も気になりますが、さすがにこの状況で進むのはないな、と判断しました。そんな中、山頂標の後ろに目を遣るとそこには雷鳥の姿がありました。うわー、悪天候の中でのご褒美ですね。これまで雷鳥に遭えるエリアに行きつつも一度も遭えていなかったので、喜びもひとしおです。真っ白なモフモフの冬毛がかわいいですね。ミラーレス一眼は低温でバッテリーが死んでしまったので、スマホカメラで頑張りました。ミラーレス一眼ならもう少し寄れたのに……。
雷鳥も見られて満足したので下山します。しかしゴーグルを持ってこなかったのは失敗でした。バラクラバだけでは足りません。少しでも肌が露出している場所があるとアウトです。寒いというより痛くて、もういい!帰る!と心の中の駄々っ子が叫び回ります。まつ毛に雪がついて凍りましたし、露出していた鼻の頭は思いきり霜焼けになり、後日日焼け跡のようになりました。あと鼻水が無茶苦茶出てしまうのはどうすればいいんだろう……。外気に触れなければ平気なのかな。

西穂山荘に戻った後は、レストハウスにて西穂ラーメン(味噌)と黒ラベル500ml缶をいただきました。冷えた身体にラーメンが染み渡ります。

その後は雪洞を通って山荘にチェックインしました。携帯の電波は小屋内でも良好ですが、ずっとスマホを見ているのも飽きてしまうので、図書室からドラゴンボールのコミックスを借りて3巻分ほど読んでいました。現代は娯楽が多いため一度見たものをなかなか見返す機会が少ないですが、小さい頃に何度も同じコミックスを読んでいた感覚を思い出しました。

夕食はカツです。ごはんは大盛おかわり、けんちん汁もおかわりをいただきました。食後はまったり過ごして、19時30分すぎには寝てしまいました。

山行2日目、5時ごろ起床します。そして6時ごろ朝食をいただきます。胃が目覚めていないようで、ちょっと重かったです。この日も丸山が目標で、独標まで行くつもりはないので、のんびり朝支度を済ませます。


7時30分ごろ、準備を終えて出発します。曇天かな、と思っていたら、薄日が差していて青空も見えているではありませんか。これはテンション上がりますね。しかし少し登っていくとガスが出てきて、再び曇ってしまいました。けれども再び薄日が差し始めて、僅かに青空も見えてきました。目まぐるしく変わります。

西穂丸山に向かう平坦な尾根道に出た頃には、完全に日が出てきました。青空も見えます。まだ方々にガスは残っているので完璧な晴れとはいえませんが、厳冬期の北アルプスの絶景を堪能するには十分です。程なくして、西穂丸山山頂に着きました。


風は強いものの日が出て幾分暖かくなったので、独標方面へ少しだけ歩いてみます。序盤は特に難しい場所はありませんが、部分的に細い尾根もあり、強風が吹いている場合は注意が必要です。垂れた鼻水が凍って強風で飛ばされていくような状況ですし、少し進んだところで引き返すことにしました。

その後は丸山周辺で前日に続いて雷鳥が見れないか、粘ってみますが、前日より天気が良いせいか、その姿や足跡を見ることはできませんでした。名残惜しいですが西穂丸山を下山します。急坂はピッケルで支えつつ、山側のアイゼンを水平にして刃を効かせ、着実に下ります。

西穂山荘まで下りてくると、雲が広がり日が陰ってきました。ここでピッケルをしまってダブルストックに切り替えます。曇天となったので、黙々と下っていきます。序盤は急坂ですがトレース上は雪も締まっているので、アイゼンを効かせて下っていけば特に問題ありません。

急坂を終えて平坦な道になったら、あとはスノーハイキングです。時折差す薄日を楽しみながら西穂高口駅を目指しました。
西穂高口駅に着いたら、駅前でアイゼンを外し、屋内でゲイターなど他の装備を外します。何か変な負荷を掛けてしまったのか、ゲイターのベルトを留めるリングが外れてしまいました。後でペンチで締めないと。


その後はカフェで飛騨牛肉まんを買って頬張ります。売店では飛騨ブラックラーメンやじゃがですよ!をお土産に買いました。他には駅の最上階にある展望台へ行って、山々の姿やにしぼくんの雪像を楽しみました。

ロープウェイでしらかば平駅まで下りたら、神宝乃足湯に浸かってみます。しかし……冷たい!靴を脱ぐ前に湯加減を見ておくべきでした。お湯が流れ出している部分はしっかり温かいのですが、湯舟に入った時点で冷えてしまっているようです。

それからロープウェイを乗り継いで穂高温泉口駅に戻りました。こちらの笠ヶ岳にて飛騨牛コロッケをいただいて一服します。そして帰りのバスに乗車しました。帰りは人数が少ないようで自由席でした。

松本市内に入ると、すっかり青空が広がっています。ちょうど天気の境目なんですよねえ。晴れエリアがもう少し西まで寄ってくれれば良かったのに。諏訪湖SAで赤岳を望みながら休憩し、美濃戸口を経由して談合坂SAで休憩します。談合坂SAでは雪が降ってきました。この先渋滞があると聞いていたので、えびじゃがとコーラを買って小腹を満たします。そして20時15分ごろ、新宿西口に到着しました。これにて今回の山行は終了です。
日程 | 2025/02/22-2025/02/23 |
距離 | 6.94km |
歩行時間 | 4:47:41 |
経過時間 | 24:46:5938 |
高度上昇 | 670m |
平均心拍数 | 127bpm |
北アルプスの雪山入門ということで、西穂丸山を登ってきました。西穂独標も気になりましたが、自分の経験値を踏まえてそちらは無理に目標には据えませんでした。西穂丸山だけでしたら日帰りも十分可能ですが、天候の変わりやすい雪山ということを鑑みますと、宿泊した方が絶景を見られる確率が上がります。実際今回も初日は天候が悪くその代わりに雷鳥を見られましたが、2日目は比較的好天で青空が覗く厳冬期の北アルプスの絶景を楽しむことができました。
獲得標高がやや多いのは、西穂丸山に2回登っているためです。前半は緩やかなスノートレッキング、西穂山荘手前は登り堪えのある急坂、西穂丸山は厳冬期の北アルプスを感じさせてくれる厳しさと美しさといった感じで、様々な表情を見せてくれるコースでした。西穂山荘から20分程度で登れる西穂丸山は実際雪山入門者向けですが、寒さと強風といった環境は十分に厳しいので、お気楽というわけではないです。
なお、今回はミラーレス一眼に少し悩まされました。元々少し前から電源が入りにくくなっており、バッテリー着脱で改善するという症状が今回も見られました。あとはいつの間にかハイレゾショットモードになっており、やけに撮影時間が掛かるなあ、と首を傾げていました。西穂山荘以降でようやく気づいて対処しました。そして最後に、低温環境によるバッテリー機能不全です。特に強風が吹く西穂丸山の尾根に出てからが顕著ですね。あっという間に残量表示が減ってしまい、撮影不可となってしまいました。
記事に載せきれなかった写真は、こちらをご覧ください。