皇海山登山

2026年06月13日、皇海山を日帰りで登山してきました。以前は群馬県側の不動沢コース経由で5時間くらいで往復できたのですが、登山口に通じる林道が2020年の台風によって崩落して事実上の廃道となりました。そのため現在は栃木県側のクラシックルートを使うしかありません。このクラシックルートですが、標準で13~15時間ほど掛かり、なかなかタフなルートです。今年から庚申山荘が利用可能になりましたが、コースの比較的手前にあるため、いずれにせよ長距離の歩行が必要です。

大事をとって小屋泊にするか、日帰りで頑張るか迷いましたが、日帰りで頑張ることにしました。コースタイムの長さは不安ですが、ルート上に危険箇所は少なく標高もさほど高くないことが安心材料です。

足尾の宿かじかに前泊して、深夜1時に起床し、2時30分すぎに出発しました。当初は3時30分くらいを考えていましたが、16時までに戻れれば宿の送迎バスに乗せてもらえるとのことなので、少し早めに出てみました。

空を見上げると満天の星空です。天体撮影したくなりますね。ヘッデンを点けたらいざ出発です。しばらくは林道が続きます。勾配も緩やかなので歩きやすいです。ただ如何せん真っ暗なのは怖いです。庚申川に沿って進むので、音もかき消されてしまいます。なので必要以上に熊鈴を鳴らしながら進みました。この状況ではこちらから気づくことは困難なので、熊側に気づいてもらうしかありません。

道中には天狗の投石など見どころを案内する看板がいくつかありますが、真っ暗でよく分からないものも多いので素通りしました。

やがて一の鳥居に着きました。暗闇の中に朱色の鳥居が浮かびます。ここから山道になります。何度か庚申川を橋伝いに渡渉していきますが、真っ暗だと意外と見落としてしまうので道迷いには注意が必要です。特に3つ目の橋は、正面が道のように見えてしまう箇所で右側に架かっているので、見落としに注意です。道にしてはちょっと荒れ気味だな、と感じたら引き返しましょう。途中迷っていそうな人がいたので、ヘッデンで合図を送っておきました。

庚申七滝は興味ありましたがまだ真っ暗で何も見えないので、そのまま先へ進みます。やがて仁王門や鏡岩、蛙夫婦岩などの巨石スポットが現れます。この辺りになると徐々に空が白んできました。歩行に支障がないと判断したら、ヘッデンを消します。勝道上人や大忍坊の碑や旧猿田彦神社などが見えてきたら、もうすぐ庚申山荘です。

庚申山荘に着いたらすっかり夜が明けていました。小屋泊の人たちは既に出発したようです。朝一ということでどうしても尿意が高まるので、こちらでポンチョを纏い携帯トイレで用を足しました。ポンチョは初使用でしたが、思いの外丈が短く使い勝手が制約されました。尿瓶のように使える携帯トイレでないと難しいかな。

トイレを終えて準備を整えたら、庚申山を登ります。ただ山荘まで来て道なりに進もうとすると、六林班峠方面へ進んでしまうので少し迷いました。正しいルートは、来た道を少し引き返して左方面へ進みます。

緩やかに登っていくと、岩壁のトラバース道に出ます。上部が競りだしており、潜るように進む箇所もあります。岩には水が滴っていて、たくさんのコウシンコザクラがピンク色の可愛らしい花を見せてくれました。

ここを抜けると普通の山道となりますが、山頂に近づいていくと、岩場が出てきます。まず現れた一の門、鎖も用意されています。上半身も使った方が楽に登れる箇所も出てきますが、それほど険しい道ではありません。胎内くぐりのある場所では先の登山道を見落として胎内くぐりがルートかと思って進んでしまいました。

山頂の手前には富士見台があります。この日は残念ながら低い部分に雲が多くて、富士山の姿は見えませんでした。

やがて庚申山山頂に到着です。山頂は展望がありませんが、少し進んだところに開けた場所があり、これから向かう鋸山と皇海山の山容を一望できます。登山レポートでよく見かける景色でした。

ここから鋸11峰を越えるアップダウンルートです。比較的短い間隔でピークが続き、細かくアップダウンします。極端な登り返しはないので、気楽に歩きます。ピークの間隔が短すぎてピークと気づかずに通りすぎてしまうこともあるかもしれません。各ピークには山名標が掲示されているので、記念に撮影しておきます。浮雲山はやけに山名標が多かったですね。

また道中ではシロヤシオを見ることができました。地面にたくさんの花弁が落ちている様子を見て、花期は過ぎてしまったかと思いましたが、まだ咲いている木々もあって楽しむことができました。

ここまで御岳山、駒掛山、浮雲山、地蔵岳、薬師岳を超えてくると、やがて登山道の先に人の列が見えてきました。どうやらここが渋滞しやすいとされている鎖場のようです。渋滞にハマることは覚悟していましたが、これまで見てきたレポートから長くても1時間程度だろうと踏んでいました。……が、甘かったです。結局2時間弱停滞するはめになりました。全然列が動かないのがストレスでしたねえ。とはいえ、庚申山荘に宿泊する人に先行するのは、なかなか困難です。この停滞によって行程は計画から大幅に狂ってしまいました。

実際ここ蔵王岳の鎖場ですが、斜度70~90度でそこそこ距離もあります。足場はガバもありますが、爪先荷重を意識しないと不安になるところもあり、鎖やロープに頼らないと危ないです。完全に三点支持で降りるのは難しいと思います。一方で鎖やロープに掴まっていれば。足を踏み外しても転落することはないので、打ち身や擦り傷で収まりそうです。

鎖場を抜けると樹林帯を少し登って、岩壁のトラバースに出ます。蔵王岳から見えてた箇所です。短い梯子を登った先にロープ場があります。斜度は70度くらいでしょうか。取り付きの部分が少し難しくて強引にいきました。遠くから見ていた様子と比べて、わりと短く感じました。

その後も固定されていない短い梯子やロープによる岩場下降などありますが、際立って難しい場所はありません。1人ずつ進むので多少渋滞は発生しますが、蔵王岳のようなことにはなりません。途中、登山道の脇に熊野岳がありました。ピークを踏むには少しだけ登山道を外す必要があります。道中ではイワカガミやシャクナゲなどの花も楽しめます。

道なりに進んでいくと、ついに鋸山の山頂に着きました。正面には皇海山が鎮座しています。周囲を見渡すと一面の山々に囲われています。皇海山の展望があまり利かないので、ここが一番眺望に優れたスポットかもしれません。山頂は幾らかスペースはありますが、そんなに広くありません。

鋸山から皇海山に向かうべく、先へ進みます。せっかく稼いだ標高ですが、一旦不動のコルまで大きく下ります。特に序盤は急坂で滑りやすいザレ場なので注意して進みます。さらに岩場の急坂があるので、ロープに頼りつつ下ります。それから展望の開けた場所で、岩の上を歩いて下ります。やがて樹林帯に入り、勾配は緩やかになってきました。しばらく歩いて不動のコルに到着です。

ここから皇海山に向けてもうひと踏ん張りです。皇海山の標高は鋸山より300メートルほど高いので、ここまで下った以上に登らなくてはなりません。全体的に急登はなく、倒木はあるものの、道自体は登りやすいです。しかしやけに疲れてしまい、何度か小休止を挟んでしまいました。

道中は樹林帯が多いですが、時折景色が開ける場所もあります。山頂直下は岩場やロープ場など一部ありますが、特に難しさはありません。道中には不動沢コースが使えた頃の案内板が残されており、登山口まで2.9kmの文字が眩しいです。やがて青銅の剣が見えたら山頂は目前です。

正午手前、ついに皇海山山頂に到着しました。山頂は樹林帯となっており、あまり展望は利きません。山名標はやけにたくさんあります。その中でも最も立派でメインと言えるのは、渡良瀬川水源碑と書かれたものでしょう。団体に写真撮影を頼まれて、5回ほどカメラマンになりました。

山頂はそこそこスペースがあります。早いタイミングだともう少し人がいたかもしれませんが、先述の通り疲れて結構追い抜かれたので、混雑というほど人はいませんでした。持参したフリーズドライの白ご飯を15分かけて調理します。本当は炊き込みご飯など味付きのものにしたかったのですが、自宅の在庫切れでスーパーで変えたのが白飯のみだったのです。美味しいですがやっぱり途中から飽きちゃいますね。

復路の開始です。まずは皇海山を下ります。急坂ではないのでわりと楽に下れますね。天気は、昼過ぎから雲が増えてきて、日が陰る時間帯も増えてきました。

不動のコルまで下りたら、鋸山の登り返しです。ここがつらいというレポートを見ていたので構えていたのですが、思いのほかすんなりといけました。昼休憩で白ご飯でがっつりエネルギー補給したおかげかもしれません。皇海山の登りがきつかったのはシャリバテの可能性もありますね。往路で急坂のイメージがあったのですが、急坂は山頂直下の部分だけであり、それ以外はそこまで勾配がきつくありません。

鋸山山頂に着いたら小休止して、それから六林班峠に向かいます。まずは笹原の開けた道を下っていきます。気持ちのいい景色ですね。

その後は樹林帯を抜けながら笹薮の道をアップダウンしながら進んでいきます。道が細いところもあり、刈られた茎が残っている部分もあって、少々歩きにくいところもあります。しかしながら5月に笹薮を刈ってくれたおかげで道はほぼ明瞭であり、藪漕ぎもほとんど発生しませんでした。身長以上に伸びた藪が道を目隠ししている区間が一部ありますが、足元の道は見えるので問題ありません。ただ道が複数に分岐しているエリアは、道迷いのリスクを感じました。今回は道が明瞭だったので変な道に迷い込むことはありませんでしたが、全体的に不明瞭だと間違った道を選んでしまうだろうなあ、と思いました。

女山の山頂はたぶんここだろうという場所は分かったのですが、山名標は見つけられませんでした。後でレポートを見ると、ものすごく小さい札があったようです。それから笹藪の道を進んでいくと、六林班峠に着きました。

六林班峠でヘアピンカーブの如くぐるっと切り返して、庚申山荘へ向かうトラバース道に入ります。全体的に平坦で歩きやすい道が続きますが、時々渡渉ポイントがあり、一旦下って再び登り返す必要があります。その際のアプローチルートが結構痩せているので、足を滑らせないように注意が必要です。

大きなアップダウンもなく歩きやすいと思っていたのですが、次第につらくなってきます。樹林帯で変わり映えのしない景色が延々と続くことがつらい部分ですね。あと後半になると幾分アップダウンが増える印象があります。ここまでの山行で疲労が溜まっていることもあり、いつまで続くんだろうという気持ちになってきます。多くの人がレポートで大変だと書く理由が分かります。

天下の見晴に立ち寄る気合いと時間の余裕もなく、そのまま真っ直ぐ進みます。そして目の前にようやく庚申山荘が見えてきた時はほっとしましたね。

庚申山荘に着いたら、10分くらい休憩します。そしたら明日登る小屋泊の方に、庚申山への道を尋ねられました。やっぱり少し分かりにくいですよねー。ところでここまで長い時間歩いてきましたが、ザックの肩紐による肩への負担が結構きつくなってきました。700mlの水を2本まだ余らせているのも効いていそうです。そろそろ再開しようかと思ったら、遠くから雷鳴が聞こえてきました。午後から発雷予報が出ているのは知っていましたが、ついに来てしまったかという気分です。

ここから最後のひと頑張りです。この先は歩きやすい道が続くので気持ち的に楽になります。往路は真っ暗で見られなかった景勝地を巡りたいところですが、時間に余裕がないので下山に専念します。勾配がそれほどきつくないこともあって、上りと比べてもあまり巻けません。

途中でぽつぽつ雨が降ってきたと思ったら、すぐに本降りになってしまいました。通り雨の気もしますが、結構しっかり降っているので。レインウェアを着てザックカバーを装着します。鎖場渋滞さえなければこの雨も回避できていたはずなのになあ。18時30分すぎに、一の鳥居に着きました。

一の鳥居から林道歩きです。道は圧倒的に歩きやすくなりますので、早歩きで少しでも巻こうと頑張ります。18時55分ごろが日没で、そこから市民薄明の時間を考えるとギリギリ明るい時間に下山できる算段です。本当はこのヴィクトリーロードをもっと噛み締めながら歩きたかったですが、仕方ないです。

19時20分ごろに、銀山平に下ることができました。市民薄明とはいっても山間なので、場所によってはだいぶ暗くなり、ぎりヘッデンなしで行ける感じでした。

今回の山行データは以下の通りです。

日程2026/06/13
距離30.91km
歩行時間13:42:41
経過時間16:42:24
高度上昇2,014m
平均心拍数126bpm

コース距離は25kmくらいのはずですが、GPSの測定誤差の影響か30kmになっています。距離が長い分、誤差も大きくなるようです。なお山行時間は鎖場渋滞による待ち時間を30分程度含んでいます。30分経過時点で一旦測定を停止しました。

クラシックルートを使うしかない現在、百名山でも屈指の難コースとなっている皇海山ですが、庚申山荘の利用が再開されたことから、小屋泊で多少刻めるようになりました。しかし営業小屋ではないため、自炊や寝具の持参が必要となり、それはそれで荷物が重くなります。また庚申山荘の利用キャパ超過の話も聞いていたので、諸々考慮して日帰りにしました。

足尾の宿かじかに前泊して、未明から行動開始します。この前泊地へのアクセスもなかなか大変で、山深さを感じさせられました。16時までに戻れば送迎バスに乗せてもらえたので、予定より早めに出発しましたが、結局2時間の鎖場渋滞で破綻しました。ただ鎖場渋滞を差し引いても16時にはギリギリ間に合わなかったようです。

とにかく長時間の山行となるので、補給食は念入りに用意しました。カロリーメイト4本、バー2本、ナッツ3袋、プロテインゼリー1本、エネルギーゼリー1本、水700mlを4本、フリーズドライの白ご飯、お湯400mlです。水は700ml1本は丸々余らせました。夏本番ではなく、それほど蒸し暑さもなかったので、喉はあまり渇きませんでした。またトイレは携帯トイレを3個持参しましたが、朝に庚申山荘で1個使っただけです。

ハードなコースですが、技術的に難しい箇所はそこまで多くなく、基本は体力勝負の山となります。標高も2,000メートル程度なので高山病の心配もほとんどありません。補給を意識しながら登る山行の良い練習になりました。

記事に載せきれなかった写真は、こちらをご覧ください。

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