蔵王山(熊野岳)登山

2022年08月07日、蔵王山の最高峰である熊野岳に登ってきました。前日は仙台七夕まつりに出かけていたので、宮城県側から入ります。ただし、公共交通機関の便はあまり良くなく、白石蔵王駅と刈田山頂を結ぶ路線バスが土日のみ走っています。さらに、往復1本のみで且つ御釜周辺の観光利用を想定しているようで、現地で動ける時間が1時間半程度しかありません。というわけで、山形県側へ抜けるルートを選びました。

白石駅前にあるバス停からバスに乗車します。自分は何故かこのバス停を見過ごしてしまい、陸橋を歩いて一旦駅の反対側に向かって、慌てて戻ってきました。間一髪乗れてよかったです。

蔵王エコーラインに入ったら、バスの車窓から蔵王不動尊を眺めたり、樹氷の元となる木々を眺めます。標高が上がるにつれてガスが濃くなっていきますが、途中で急に晴れて青空も見えてきました。遠くには雲海も見えます。これは予想外に好天が期待できるか、と思っていましたが、バスが到着したあたりで再びガスってきました。

山行前に、蔵王山頂レストハウスで、トイレに行ったり、飲み物を買ったりして、そしてずんだソフトを注文しました。

最初に向かった先は、御釜です。緩やかな斜面を下って御釜の見えるポイントへ移動します。しかしガスが濃くてなかなか見えません。しばらく粘っていると、一瞬の晴れ間が訪れて、何とかエメラルドグリーンの水面を見られました。若干ガスの被りはありますが、ギリギリ見られて良かったです。この後はガスが濃くなる一方でしたので、ラストチャンスだったかもしれません。

それからせっかくなので、まずは刈田山頂へ向かいます。5分と掛からない行程ですが、山頂に着きました。山頂には刈田嶺神社奥宮がありますので、安全登山を祈願しました。山頂には、蔵王山メートル指導標などもあります。

さて、それでは熊野岳を目指して歩きます。一縷の望みを賭けて、御釜の方へ下るルートを通りましたが、結局真っ白のままでした。多少雨も降ってきましたが、レインウェアを着るほどではありません。

登山道は広くて周りに木々もない稜線歩きなので、気持ちの良い景色が広がっているはずなのですが、残念ながら一面真っ白です。ハイマツが生えているエリアがあり、草花の群生も随所に見られます。一面のお花畑というわけではないですが、ヤマハハコやコウゾリナなど様々な花を見られます。

やがて馬の背分岐に着きました。せっかくなので避難小屋の石室を見てみたいと思い、避難小屋を経由するルートを選びました。熊野岳へのルートは概ね平坦ですが、ここは傾斜のあるザレ場なので、滑らないように注意が必要です。見落としていたかもしれませんが、それほど明瞭な登山道もなかったように思えます。

とはいえ、距離は大したことなく、程なくして避難小屋の石室に到着します。屋根はなく石積みの壁だけが残っている状態です。近くには、仙台二中遭難者供養碑がありました。

そこから平坦な道を真っすぐ進んでいくと、熊野岳山頂が見えてきます。近くには蔵王山神社があります。ちょうど修繕工事中のようで、工事の人が2名いたり、社に梯子が掛かったりしていました。お参りを済ませたら周辺を散策。山頂は結構広いです。お花畑も神社の周辺などにあります。ガスがなければ遠望を楽しみながらのんびりしたいところですが、真っ白で何も見えないので、早々に下山します。

帰りは蔵王温泉方面に下りますが、山頂が広いこととガスっている状況から方向感覚を失いやすく、道を探すのに少し苦労しました。やってきた方向や神社との位置関係からあたりをつけて、先へ進みます。

やがてペンキ印のある岩が見えてきたので、どうやら正しい方向のようです。FenixのGPSマップも問題なさそうです。というわけで、安心して進みます。岩場交じりの斜面は結構広くて、迷わないようにペンキ印を頼りにしながら下りていきます。ガスは相変わらず晴れませんが、お花畑がきれいです。

斜面が終わると、しばらく平坦な道を進みます。そしてワサ小屋跡に着きました。ワサ小屋とはかつて存在した山小屋だそうで、参拝者の面倒をみていたとの記述から、相当昔のものかと思われます。案内板を見ても年代に関する記載はありませんでした。

さて、ここから地蔵山に向かってロープウェイ下山するか、樹氷高原駅まで行ってロープウェイ下山するか、分岐を選択する必要があります。今回はいろは沼を見たいので、後者を選択しました。

山肌に沿って進みます。視界は左側が開けています。ガスっていなかったら、気持ちいい景色が広がっていそうです。しかしながら、ガスの中でもお花は楽しめます。細い道のすぐ脇には、シロバナトウチソウ、ザオウアザミ、ムシカリなど、たくさんのお花が咲いています。基本的に歩きやすい道ですが、一部痩せている箇所があり、注意が必要です。

そしてまたしても涸れ沢への迷い込みをやってしまいました。急に歯ごたえのあるコースになってきたな、と思っていたら、コース外でした。いざ沢の入口まで戻ってみたら、さほど分かりにくいわけでもなく、うーん、注意力が足りないですね。何度もやらかしているせいで、おかしいと気づいて戻れる感度は上がりました。登山道が涸れ沢を越えた直後に大きくカーブしている場合に、見過ごしが増えている気がします。

その後は緩やかに下っていきます。この辺はとにかく赤トンボの数がすごいですね。登山道を歩くたびに、周辺に留まっていたトンボたちが一斉に飛び回ります。他にも足元で何かが蠢いたと思ったら、小さなカエルがいました。

ちなみに、熊野岳以降はほとんど人に会っていません。ワサ小屋跡の先で男女ペア1組に会ったくらいです。

標高が下がるにつれて、だんだんガスも晴れてきました。多少暑さも感じるようになってきます。程なくして、いろは沼に着きました。

名前しか見ていなかったので、こじんまりとした沼を想像していたら、ミニ尾瀬のような湿地帯が広がっていました。お花もたくさん咲いており、池塘も多く見られて、予想外の美しい景色に癒されました。コバギボウシやキンコウカの群生など色とりどりの花々がきれいですね。木道を歩きながら、しばし景色を堪能します。空を見遣ると、雲の向こうにうっすらと太陽が見えます。

いろは沼を抜けたら、今度は観松平に出ます。腰掛の松、羽衣の松など、看板が用意された松が何本かありますので、それらを観賞します。茂吉の歌碑もこちらにあります。いろは沼以降は、タウンシューズでも歩けるくらいに整備されていますね。

しばらく歩くと、ユートピアリフトに出ました。ここから歩いて下っても良かったのですが、日差しが出てきて暑そうですし、ここで山行終了としました。ちなみに、上の方はまだガスが掛かっているので、時間をずらしても眺望は厳しそうですね。

さて、夏山リフトで樹氷高原駅のあるところまで下ります。下りのみ使う人はあまりいないので、チケットは降車後に購入する形になります。樹氷高原駅のある広場では、ベッドがあったので、しばしまったりします。そこから蔵王ロープウェイで山麓駅まで下りました。その後は、湯の花茶屋新左衛門の湯でひと風呂浴びました。やはり下山後は温泉ですね。日本二番目の強酸性温泉を堪能しました。

今回の山行データは、以下の通りです。

距離7.61km
山行時間4:08:31
経過時間4:08:31
高度上昇246m
高度下降532m

宮城県側の刈田山傍から入って、熊野岳山頂を経由し、蔵王温泉方面へ抜けるルートです。スタート地点の標高がかなり高いので、上りより下りの方が多くなっています。下りも基本的に緩やかで、ストックは使いませんでした。熊野岳の取りつき前後は多少急にはなりますが、大半はハイキング感覚で楽しめるコースかと思います。また、Fenixを止めるほどの休止はしなかったので、山行時間と経過時間は同じになっています。天気はガスが強くて残念でしたが、元々は雷予報も出ていたので、それがなかったことを思えば幾分良い方向に転がったのかもしれません。山行中の雷は怖いです。

記事に載せきれなかった写真は、こちらをご覧ください。

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