海の日の三連休、連休は混んでそうだなーと思って、特に予定を入れていなかったのですが、せっかくなので日帰りでは難しい山に登りたい、と考えが変わりました。しかしさすがに三連休の山小屋は空いていないので、日帰り登山できるけど山自体へのアクセスが難しいところを対象にしました。夜行バスを見たら鳥海山行きのバスに空きがあったので、こちらに決定です。ちなみに電車で行くとかなりアクセス困難で、最寄り駅まで6時間近く掛かります。他の手段として庄内空港経由で行けますが、いずれにせよ関東から気軽に行くにはハードルが高めです。
夜行バスは渋滞を避けるためか、三連休の真ん中の日を行動日として、予定が組まれていました。というわけで7月14日(土)に竹橋に向かい、夜行バスに乗車します。パレスサイドビルのファミマは山行用食料等の買い出しに便利です。
佐野SA、安達太良SA、月山湖PAと休憩を挟みながら、6時すぎに鉾立口に到着しました。予定より40分ほど早いです。天気は薄曇りで、日本海はかろうじて見えます。山行準備を済ませたら、朝食をいただきます。それから登山届を記入して登山開始です。
登山口から鬱蒼とした樹林帯はなく、比較的木の丈が低いです。しばらくは舗装された階段を登っていきます。東雲荘を過ぎてどんどん進み、途中から舗装が終わり岩混じりの道になりますが、勾配は緩いので楽に歩けます。途中にある鉾立展望台からは、周りの山々を一望できます。
やがて周囲が開けてくると、景色は変わってお花畑が広がります。ニッコウキスゲやチングルマなどの高山植物がそこかしこに咲いています。チングルマは花弁を付けたものから、花弁を落としたものまで、両方楽しめます。他にもコバイケイソウやベニバナイチゴ、イワカガミ、イワイチョウなど、色とりどりの花が咲き誇っていて、カメラのシャッターが止まりません。
緩やかに登り続けていくと、賽の河原に出ました。広場になっており、休憩するのにちょうどいいです。ただ特に疲れてもいないので、そのまま先へ進みます。
緩やかに岩畳などを登っていきます。後ろを振り返ると高原の広がる様子を楽しめます。遠くには雪渓の残っている山肌を見られて、緑と白のコントラストが映えます。薄曇りでなかったら、さらに青色が加わって一層美しかったと思います。
坂を登り終えると御浜に到着です。こちらは眼前に鳥海湖があり、景勝を楽しめます。そして御浜小屋もあるので、多くの人が休憩しています。高山植物も多く咲いており、鳥海湖を背景に花の写真を撮影したりしました。ただ日光の関係かガスの関係か、少し白っぽくなっちゃいますね。
さて、先へ進みます。若干道が分かりにくいですが、上の岩場ではなく下側を通っていきます。この辺もまだまだ高山植物がきれいで、なかなか足が進みません。チングルマやハクサンフウロ、ハクサンシャクナゲなどを楽しみます。御田ヶ原まで緩やかに登ったら、その後は一旦下ります。先へ続く道がずっと見えていて気持ちいいです。
御田ヶ原分岐を過ぎて先へ進んでいくと、八丁坂の上りが始まります。これまでと比べると若干勾配がありますが、急というほどではありません。七五三掛まで出たら、そこからもうひと登りして、千蛇谷と外輪山の分岐に出合います。感覚的にはここが中間点ですね。後ろを振り返るとこれまで歩いてきた道を見渡せます。
どちらから回るか迷いましたが、先にピークを踏みたいので、千蛇谷方面へ進むことにしました。実際こちらへ進む人の数が多いようです。千蛇谷に行くには一旦山道を下ります。そして雪渓に下りたら、緩やかに登っていきます。チェンスパは持ってこなかったので、そのまま登ります。ザクザクとした雪の感触を楽しみながら登りますが、やはり少々歩きにくいですね。
雪渓区間を終えたら、草原の中を登っていきます。道中に咲いているミヤマキンバイやアオノツガザクラなどの花々を愛でます。軽く息も上がってきたので、プロテインバーを食べながら小休止しました。小さな雪渓を越えると、岩場地帯に入ります。こちらを登り終えると、御室に到着しました。
御室は大きな広場になっており、山頂御室小屋や大物忌神社があります。広場では鳥海山の固有種であるチョウカイフスマの群落を見られます。大物忌神社に安全登山の参拝を済ませたら、山頂御室小屋の売店にて山頂アイスを買いました。チューペット型の氷アイスです。だいぶ体が温まっていたので、冷たくて気持ちいいですね。
少し休憩をしたら、新山へ向かいます。岩稜帯を登っていくので、この近辺はヘルメットがあった方が良いですね。今回は持参してきませんでした。山頂御室小屋前から見えるピークは山頂ではなく、この先で一旦下ります。岩壁の谷間を通り抜けると、その先に新山山頂が見えてきます。
しかしここからが長かったです。山頂部分は狭く、アプローチも岩稜帯となっているため、人の入れ替わりがしづらい形になっています。そうした事情もあり、普通に歩けば3分程度で登れそうなところを、30分ほど並んでようやく山頂を踏めました。
標高2,236メートル、鳥海山新山山頂です。岩に大きく「新山」の文字と標高が書かれています。その下には様々な鳥海山のプレートがあります。長蛇の列ということもあり、山頂標を撮影したら早々と下ります。
岩稜帯を下り、胎内くぐりを抜けて、往路とは反対側に進みます。岩稜帯を道なりに歩いていくと、やがて雪渓に出合います。ここを右へ進んでいくと、山頂御室小屋へ戻れます。真っすぐ進んで正面の山に取り付くと、外輪山を縦走するルートに入ります。こちらの雪渓は結構急勾配となる部分がありますので、チェンスパがあった方が良いでしょう。ただ、外輪山から回ってきた人が登る際にトレースを付けてくれているので、そちらを使えば比較的安全に下りることができます。
雪渓を抜けたら、登山道を登っていきます。急勾配でザレているので、足を滑らせないように注意が必要です。ここを登り終えると、外輪山の尾根に出合います。
一旦七高山の方まで歩いてピークを踏みました。様々な石碑などのモニュメントが建てられており、賑やかです。アキアカネやアゲハチョウなども飛んでおり、昆虫たちの楽園です。そんな中草むらの中に目を遣ると、黄色と黒の大きな生き物の姿が目に入ってきました。色合い的にスズメバチに見えたので反射的に身構えましたが、オニヤンマでした。体もかなり大きくて迫力がありますねえ。この近辺で昼食休憩を取るつもりでしたが、新山の行列で時間をロスした分、帰りのバスの時間に間に合うか少し不安でしたので、先へ進んでおくことにしました。
尾根歩きなので左右に眺望が開けていて気持ちいいです。先ほどまでいた山頂御室小屋を見下ろしながら歩きます。午前中は薄曇りながら日差しも差していましたが、午後は雲が厚くなって日差しが届かなくなりました。新山にも時折ガスが掛かったりしています。ただその分涼しくなったことは、ありがたいです。
気持ちよく歩き進めると、短いハシゴが見えてきました。ここが行者岳のようです。ハシゴの下に看板があり、登った先には何もありませんでした。そしてここでスマートウォッチの測定を止めていたことに気づきました。七高山あたりで昼休憩を挟むつもりで一旦停めたまま、再開することを忘れていました。
外輪山の縦走を続けます。アップダウンをしながら、伏拝岳、文殊岳へと進みます。こちらも高山植物が色々と見られ、シロバナミヤマリンドウやイワフウロ、イワカガミなどが花を咲かせています。鳥海山固有種であるチョウカイアザミも黒い蕾を携えています。よく見るとうっすら赤いのですが、ぱっと見は黒ですね。初見はインパクトがあります。
文殊岳に着いたところで、昼休憩にしました。このペースならバスの時刻には間に合いそうです。今回のお昼ご飯は惣菜パンです。夜行バスの都合、フリーズドライはお湯が冷めてしまいそうだと思って止めました。
昼休憩を終えたら山行再開です。遠くを見遣ると、白く霞んだ鳥海湖が見えてきました。だいぶ帰って来たなあと感じます。登山道を下って標高を下げていき、千蛇谷との分岐地点まで戻ってきました。
この先は比較的勾配が緩いので、少しペースを上げて進んでいきます。日が陰った方が光が拡散しないためか、鳥海湖がくっきり見えた気がしました。終盤は列が詰まってペースダウンする区間もありましたが、バスの時刻まで1時間強の余裕をもって下山できました。
帰りはあぽん西浜に立ち寄って、温泉で登山の疲れを癒します。海が近いので塩化物泉ですね。しょっぱさを感じました。本来はここの食事処で夕食のはずでしたが、営業時間内に捌ききれなさそうなので、深夜に国見SAのレストランで、喜多方味噌ラーメンとミニカレーのセットをいただきました。
今回の山行データは以下の通りです。
距離 | 15.89km |
歩行時間 | 8:08:20 |
経過時間 | 9:18:14 |
高度上昇 | 1,283m |
平均心拍数 | 140bpm |
午前中は日差しもある薄曇りで、午後からは曇天となりました。全体的にガスることはなく、概ね眺望は得られたので良かったな、と思います。ただうっすら霞んだ様子であり、遠景を映すと遠くは白っぽくなってしまい、すっきりしませんでした。
登山道では多くの場所でたくさんの高山植物を楽しむことができました。全体的に道も歩きやすく、勾配もあまり急ではありません。ただそこそこ長い雪渓歩きや新山周辺の岩稜帯歩きなど、それなりに注意すべき箇所もあります。
山行では下山後には膝がぐにゃぐにゃになることが多いですが、今回は勾配が緩めだったためか、膝に優しい山行となりました。長時間長い距離を歩いているので、足裏は痛くなりましたが、観光で街中を長時間歩いた時の感覚に似ていますね。
文中にも書いた通り、Fenix5Xを停止した後再開ボタンを押下するのを忘れてしまいました。七高山から行者岳の区間のデータが欠落しています。時間は20分間くらいでした。経過時間の方には含まれているので、正確には歩行時間に20分間を足すのが正しい数値となります。距離はそのまま数値が落ちています。面倒なので特に補正はしていません。
記事に載せきれなかった写真は、こちらをご覧ください。