2023年5月27日、雌阿寒岳を登山してきました。JALのセールで5月末までの航空券が格安で取れることから、北海道の山を登ろうと思い、5月下旬で無雪期登山可能な山ということで、雌阿寒岳を選びました。北海道にある日本百名山の中でも、一番登りやすい山かと思います。ただ公共交通機関による登山口へのアクセスはないので、阿寒湖温泉から雌阿寒岳温泉登山口までタクシーを使いました。往復で1万円強となります。そして、飛行機やバスの便の都合上、昼すぎの出発となりました。
登山口から少し歩いたところに公衆トイレがありますので、まずそちらで用を足します。山中にトイレはありませんので注意です。登山口の傍には野中温泉があり、近くの用水路には色のついた温泉が流れています。下山後の時間に余裕があったら寄りたいですね。
登山届を記入したら、いざ出発です。最初は樹林帯の中を緩やかに登っていきます。少し歩くと木の根が階段状になって急登が始まります。途中にある1合目を通過して進んでいくと、次第に傾斜が緩やかになります。ニリンソウやウソなどを楽しみつつ、2合目、3合目と進みます。
3合目を越えると、徐々に木の丈が小さくなり、ハイマツ帯へ入っていきます。両脇をハイマツに囲われた視線の先には、雌阿寒岳の山頂が見えます。そんな中、登山道の脇で何かが動いたと思ったら、エゾシマリスでした。倒木の上に乗って様子を伺っていました。近づくと逃げてしまったので、あまり寄れませんでした。
しばらく平坦に近い道を歩きます。視界は完全に開けていて、気持ちいいの一言に尽きます。山を覆うハイマツの緑と青空のコントラストが溜まらないです。左に視線を送れば、下界に広がる森の姿を楽しめます。
その後少し下って、涸れ沢を通過します。ここから再び上り道が始まります。進行方向が少し変わるので、見える景色も少し変わって新鮮です。道は九十九折にあり、岩の数も増えてきます。
高度が上がると、遠くにオンネトーも見えてきました。足元にはガンコウランも目立ってきました。景色を楽しみつつ、7合目まで登ってきました。
7合目あたりから少しずつ緑が減っていき、火山らしい赤茶色の荒涼とした景色が目立ってきます。8合目を越えると、だいぶザレてきますので、足元に注意です。視界が明瞭なので特に迷う心配はなさそうですが、ペンキマーカーを頼りに登っていきます。時折風に混じって硫黄の臭いが鼻をつきます。
ザレ場の急登を登りきると、9合目に到着です。ここから稜線歩きとなりますので、風が強いです。足元は変わらずザレていますので、注意をしながら歩きます。右手を望むと赤沼や噴煙が見えます。シューッ!という大きな噴気音が聞こえてきて、地球の息吹を感じられます。そんな中、岩壁に巣を作っているイワツバメの群れが、忙しなく周辺を滑空していました。
前述の通り風がかなり強いので、飛んでくる砂埃が勢いよく顔に当たって、結構痛いです。アウターのフードは必須でした。そんな中歩き進めていくと、ついに雌阿寒岳山頂に到着です。標高1,499メートルですが、高緯度帯なので本州の山に例えると+1,000メートル相当だと言われています。
右手には青沼、その奥に阿寒富士がそびえて、左手には中マチネシリ火口、その奥には阿寒湖が見えます。火山に伴う白土と共に残雪による雪渓も残っていて、赤茶色の山肌が様々な色で彩られています。
実に気持ちの良い絶景で、自分の後から来る登山者は誰もいなかったので、独り占め状態でした。長居したい気持ちになりますが、とにかく風が強くて寒いことと、帰りのタクシーの時刻まで案外余裕がなくなったことから、昼食を食べたら早々に下山開始です。
下山ルートは往路と同じピストンです。計画時はオンネトールートでの下山を考えていましたが、早朝出発できなくなったので、最短となるピストン行程にしました。7合目までのザレ場は慎重に下りて、足場が安定するそれ以降は、若干急ぎ足で進みました。16時近くでしたので、山の表情も夕暮れに向けて徐々に趣きを変えてきています。3合目から先の樹林帯を下りている際には、だいぶオレンジ色が強くなっていました。
下山完了までもう少しのところで、再びエゾシマリスと遭遇しました。今度の個体はなかなか逃げ出さずに近くで観察させてくれます。うーん、背中を丸めた姿がかわいいですね。
そこそこ急ぎましたが、結果的に予定時刻より10分遅刻の下山完了となりました。だいぶ余裕を持ったつもりですが、余裕を食いつぶしてしまいました。自分の山行ペースが落ちているのかなあ、と思ってデータを確認したところ、山行時間自体は標準タイムより20分強短く、休憩時間が長すぎたことが原因でした。時間管理がわりとザルになっていたのが反省点です。山行中の休止時間だけではなく、登山開始前の準備時間も含めて、時間管理をしようと思います。もちろん無理に計画に合わせるという意味ではなく、余裕や遅れの状況を適切に把握するということを心がけるつもりです。今回は下山時になぜこんなに余裕がなくなったのか分かっていなかった、というのが良くないポイントだからです。
今回の山行データは以下の通りです。
距離 | 7.06km |
山行時間 | 3:58:30 |
経過時間 | 4:32:12 |
高度上昇 | 784m |
出発時間が遅いこともあり、最短ルートである雌阿寒岳温泉登山口ピストンを選びました。3合目までの樹林帯を抜けた後は、ハイマツ帯の中ずっと展望が開けていて、気持ちの良い山行を楽しめます。山頂直下では噴煙など火山らしい荒涼とした景色が広がり、バリエーション豊かに楽しめます。途中ザレ場はあるものの、特に難しい箇所はなく、登りやすい山です。
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