2024年10月12日に地球へ最接近する彗星、紫金山・アトラス彗星を観望および撮影してきました。この彗星接近は年初から楽しみにしていた天体イベントなので、是非ともその姿を捉えたいと思っていました。
最接近日である10月12日は在宅していたので、難しいかな、と思いつつ、近所の見晴らしの良い場所を求めて散策しました。しかしまだ高度が低く、肉眼での観望はもちろんのこと、写真でも捉えることは出来ませんでした。街中ということもありますが、日没後30分は西の空がだいぶ明るくて厳しいですね。1時間経つとようやく暗くなってきますが、その時点で高度1度なので、街中では難しいです。成果は得られませんでしたが、紫金山・アトラス彗星の位置を特定する上で、明るく輝く金星とアークトゥルスが良い目印になるという知見を得ました。
10月13日は荒島岳の登山口がある勝原にいて、暗さの点では申し分のない場所でしたが、谷間で西方向が山陰に隠れてしまい、観望は叶いませんでした。
10月14日は白山室堂平に滞在しており、ここでついに紫金山・アトラス彗星を見ることができました。この日の日没時間は17時19分です。多少雲が掛かっていたこともあり、日没直後からしばらくの間は彗星の姿を捉えることができません。それでも18時手前、薄明の比較的明るい時間帯から、あのぼんやりと見えるのがもしや……と気づくことが出来ました。分かりにくいかもしれないので、丸で囲っておきました。
薄明が終わりに向かうにつれて、徐々に肉眼でもはっきり見えるようになってきます。肉眼で彗星を見たのは人生で初めてだと思われ、感動しました。見かけ上の大きさはかなり大きく、月の10倍弱はあります。光が淡いので存在感は幾らか薄れますが、それでもその存在に気づけば迫力に圧倒されます。
暗くなるほど肉眼ではよく見えるようになるのですが、全体的な明るさが落ちる分、手持ち撮影だと厳しくなってきます。
手振れの影響を低減すべく、感度を少し上げて、露光時間を短くしてみました。下にある街明かりと比べると、尾を含む彗星の見かけ上の大きさが何となく伝わるかなあ、と思います。
10月26日、常念岳の常念小屋に滞在したので、駄目元で狙ってみました。肉眼では捉えることが出来ませんでしたが、写真には写っていました。広角で撮影したので他のものの可能性もゼロではないですが、天の川の右側にあり、尾の方向も合っていそうなので、恐らく間違いないだろうと思います。ちなみに中央付近には流れ星も映っています。赤道儀および三脚なしの20秒露光でしたが、これだけ映ることに感動ですね。